──橋口さんは吉田山田の「日々」が話題になった時はどう感じてました?
橋口 僕らにとっては、ずっと背中だったので、背中を追いかけてる人がどんどんすごくなっていっただけでの話で、悔しさはなく、単純に嬉しかったですね。僕らはバンドな分、この5年間で、ほかのバンドと比べられて、悔しさを感じる機会もたくさんありましたけど、それとは別に、吉田山田がどんどん羽ばたいていくさまは、後ろから見てて、すごく幸せだったし、嬉しかったですね。同い年ですし。
──そんな密接なつながりを持った2組によるツーマンライブが決まりました。
吉田 ずーっと「やりたいやりたい」って言ってきて。関係性が違う今であれば、もっと楽しくなりそうだなってずっと思っていて。2ヶ月前くらいに、橋口くんから電話がかかってきて。「ブリッツがとれちゃったんだけど」って。半分、相談みたいな感じで、「吉田山田は呼びたい。それにあたって、他の対バンの人たちも呼んだ方がいいか、どうしようか?」って言ってくれて。それは俺らも、出たいっていうのを前提で、4〜5組呼んで、30分くらいずつでわちゃわちゃと終わっちゃうよりは、ここいらで、ツーマンにしちゃって、橋口くんがやってるFMヨコハマでの吉田山田との絡み方、僕らがやってるレギュラー番組tvkでのwacciとの絡み方を見て、「なんかこの化学変化楽しいな」って思ってくれてる人たちに「待ってましたよ」って言ってもらえるような濃厚なイベントにした方がいいんじゃないかって2人で話し合って。
橋口 うち発信でイベントをやるとしたら、まず、吉田山田には出てもらいたいっていうのがあったので、一番最初に連絡したら、話していくにつれて、いろんな人を呼んでやるよりも、密に2人と一緒に何かをやった方が、いいものになると思うし、エンターテインメントの部分もちゃんとバンドとして向き合ってやっていけるんじゃないかなっていう風に思って。
──ツーマンライブは3年ぶりになりますが、どんなライブになりそうですか?
橋口 前回はうちが主導で、ゲストに吉田山田を呼んだ形だったと思うんですけど、今回に関しては、吉田山田とwacciの合計7人で1つのワンマンライブをするっていう形を考えてます。ツーマンライブではなく、7人のワンマンライブなんだっていう形をとっていけないかなって思って今、色々考えてます。
──1時間ずつやって、アンコールでセッションという形ではない?
吉田 そうですね。それは他でもできるっていうか。僕らは2人組なので、1人ではできないけど、2人でならできることとすごい向き合って、10何年やってきて。やっぱり、全然違うわけですよね。R-1とM-1が違うように。やれることが違うし、種類が違うで。その中で、今、吉田山田とwacciのふた組にしかできないことがある。それがなんとなく見えるから、そこを活かさない手は無いなって。wacci単体で1時間ライブをやって、吉田山田として1時間やっても、絶対にいい夜にはなるけど、それが最底辺として、もっとその日にしかできないものにしたい、と。いまの僕らなら、お客さんが“なんかすごいものを目撃した”って思ってもらえる日にできる気がしますね。
──この7人で今ならできることっていうのは?
吉田 7人で新しいグループ名を作ってもいいんじゃないかなって思ってるくらいなんですよ。もちろん、大前提として、僕らは芸人さんじゃないので、音楽っていうものが中心にあって、バンドっていう特別なグルーヴ感ってあるわけじゃないですか。それが、7人組として、新しくバンドを組んで、そこにちゃんとグルーヴが生まれて。それぞれの曲もやるし、wacciが演奏するバンドで吉田山田が歌うこともあれば、僕と山田と橋口くんだけでアコースティックでお届けすることもあると思うし。
──新たなバンドを組んだって言っていい?
橋口 そうですね。今回はそこまで思ってもらえるようなライブにしたいですね。僕ら2組は、ライブでただ曲をやって終わってるグループではないと思ってて。お客さんに笑顔で帰ってもらえるっていうところを一番に置いて、そことずっと戦ってきたグループなので、そんな2組が力を合わせれば、もっと他にないエンターテインメントが作れるんじゃないかっていう期待がありますね。
山田 なんか面白いものできそうだなっていう漠然としたものがあって。あとは、相方がいつも以上に伸び伸びしてる顔を見るのが楽しみですね。相方のいじりたい願望と、橋口くんのいじられたい願望はデコとボコのようになるので、それを僕は見ていようかなって思います(笑)。いつもとは違う顔を見られるので、面白そうだなって。ま、喋りは多いでしょうね。MCは長くなるでしょうね(笑)。
吉田 でもね、山田が、僕と橋口くんの絡みが楽しみだって言ってくれてたけど、僕としては、そこはちょこちょこみんな見てると思うんですよ。今回は、吉田山田×橋口洋平じゃなく、吉田山田×wacciだから。バンドメンバーも、普段言えない、橋口くんへの恨みつらみ、いっぱいあると思うんですよね。その辺も、普段言えないことをステージ上でみんなに言ってもらおうと思ってて。そうすると自ずとトークも……。
──長くなりそうですね。そのコーナー(笑)。
橋口 あはははは。ま、そうですよね。7人のコラボレーションと思わないでもらえるようなものというか、本当に7人組のバンドとして、頭からやってるようなところを大事にしたいですね。一緒に何かやってるじゃなくて、7人で頭を使って作りましたっていうワンマンライブになるように、演奏もトークもやって行きたいなって思います。
吉田 あと、このイベントに関しては、どこまで身内感を出すかが、一番の肝だと思ってて。行こうと思えば、いくらでも身内にできるけど、置いてかれちゃう人もいるだろうし。でも、そういう人たちのことばかり考えて、外向けにやってる、ほかとあんまり差がなくなっちゃうから。その加減を、いま考えてます。「wacciと吉田山田のワンマンライブって特別だよね」って思ってもらえるようなイベントにしていきたいですね。
──ふた組でワンマンライブっていう響きが新しくてワクワクします。2018年はそれぞれどんな年にしていきたいですか?
吉田 昨年は僕ら8周年だったんですけど、10周年に向けて、山田と出会ってから初めて明確な目標を決めたんですよ。「このステージに立つ」って。それは公にはしてないんですけど、そのステージに見合ったミュージシャンになりたいっていう目標を、遅ればせながら、初めて立てたんですよ。今まで何となく、楽しくやりたいっていうのが大前提であったし、すごく楽しかった。だけど、本当にいつ、吉田山田として最後の日が訪れるかわからないっていう危機感の中で、もしも次のライブが最後のライブになったとしても、後悔しない生き方、歌い方をしたいねっていう思いで、2017年は「変身」というアルバムに今、持てる全てを込めて。全てを込めたんですけど、まだまだ満足できていなくて。「変身後」ではなく、「変身中」という意味でタイトルをつけたんですけど、まさに10周年、満足いくミュージシャンに自分がなれているかどうか。本当に試行錯誤しながら、死に物狂いで、2017年の後半にツアーを回っていたときの気持ちをそのまま継続して、2018年、ライブでも、音源制作においても、「本当に最後だよ!」って自分の中であえて危機感を出しながらやりたいなって。しんどいんですけど、後悔したくないからと思ってます。
山田 今、言ったことと一緒なんですど、最近、ライブしてても、特にワンマンの時は、面白いだけのライブをしたくないなって思っていて。楽しかったよ、だけで終わるライブも、それはそれでいいんでしょうけど、なんか意味がないなって、ちょっと思うようになって。ライブハウスやホールを出た後で、その人の生き方にどう影響するかとか、その人の成長なり、一歩進むための勇気だったりが湧かないと、いいライブではなかったんじゃないかなって思うようになったんですね。楽しいライブではあるけど、いいライブではなかったなって考えているので、僕らの今後のライブは——絶対に楽しくはなるんですけど、どこか一箇所だけでも「すごかったね」って。ちゃんとお土産を心の中で持って帰ってもらえるようなライブにしたいとは思ってます。
橋口 僕らは昨年の8月にアルバムを出して、全国40公演のツアーを終えて。今回は、ライブを見にきてくれた人が、ものすごくいい顔をして帰っていくさまをすごく感じられて。自分たちは信じてやってきた曲やライブが、いい形でちゃんと伝わってるなっていうのが実感としてあって。山ちゃんがさっき、「心にお土産」って言ってましたけど、うちも一緒ですね。ライブとかでうちの曲を聴いて、明日明後日と、日々を頑張れるような、なんなら僕らと一緒に、明日明後日と歩いていけるようなバンドでありたい。日常に寄り添えるバンドとして。やっと一歩踏みだせてきたのかなって思えたアルバムとツアーだったので、2018年もちゃんとそこに注力していれば、自ずと結果はついてくると信じてやろうと思ってます。
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