──今回の旅で一番印象に残ってることはなんですか?
後編に出てくるんですけど、マダガスカルの子供たちとの出会いはすごい良かったですね。違う町を目指してて、「この線路、綺麗だね」なんて言いながら歩いてた時に出会った子どもたちだったんですけど。一緒に歌ったりサッカーしているうちに子供たちが心を開いてくれて、僕も情が湧いてきちゃって。その後、サッカーをしてたのがひどいボールだったから、新しいサッカーボールを届けに行ったんですけど、それを見た子どもたちが狂喜乱舞していて。物が溢れていない分、物のありがたみが分かるんだろうなと思った時、「昔は日本の子供もこんな感覚だったんじゃないか?」とか考えちゃいましたね。お金も物もあって食いっぱぐれのない日本よりも、アフリカの人たちの方が「人生楽しいぜ!」って気持ちも強くて。「何をもって幸せというのか?」ということも、旅が考えさせてくれました。映画を見る人たちも、きっと何か感じてくれると思います。
──海外の人と触れ合う中で、音楽とサッカーってすごい武器だと思うんですけど。海外で何か行動を起こす時、自分には音楽があるというのは強い後ろ盾になってます?
映画の前編でライブレストランに行って、ステージに上がるシーンがあるんですけど、あの時は事前に現地の歌を準備していて。どんな時もそうですけど、ちゃんと準備出来ていれば怖くないです。だから音楽があるからというより、「I’m Ready」でいられるかどうかが基準ですね。あとは海外なら多少、図々しく行ってもイヤな顔されないし、そうしないと何も起こらないと思ってるので。あえてグイグイ行ってるところはあります(笑)。実は今回の旅って、あまりグイグイ行ってないんですけどね。今回はインプットしに行っていたから、今までの旅と少しマインドが違ったんです。「ここで一発カマしてやろう!」って意識は全然無くて。常に受け身で「何か食らわしてくれ!」って気持ちでいたんです。でもなぜか、向こうから何かしら転がってくるんですよね(笑)。
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──映画のために何かしてやろうって気持ちもないけど、勝手に事件が起きると(笑)。
何かしてやろうって気持ちはゼロです。トレードマークとも言える、帽子も脱いじゃってますから、インティライミ感もゼロです(笑)。それでも色んなことが転がってくるんだなと思ったし、アンテナの感度は変わってないんだなと思いました。
──やはり、そういった予想もしなかったサプライズにこそ、旅の醍醐味を感じます?
いや、旅の醍醐味は自分と話す時間だったかな?忙しい日々に追われていると、「自分の夢は何か?その夢のために動いているのか?」みたいに、自分と会話する時間が少なくなるじゃないですか? でも、旅の時って移動の時間もあるし、部屋で自分の時間もあるし、色んな人と出会う中で自分が分かることもあって。自分と会話する時間がすごく多いから、「夢のためにどう動こうか?」とか考えてるとワクワクするし、自分に力を注入してくれる。だから、自分自身とじっくり向き合えることが旅の醍醐味じゃないかな? もちろん、色んな人に会うとか、色んな音楽と出会うとか、ステレオタイプをぶっ壊してくれる刺激とか、醍醐味を上げれば他にもたくさんあるんですけど。特に今回に関しては、自分と話す時間がすごく重要でした。
──なるほど!それは想像もしていなかった答えでしたし、一人での長旅を経験したからこそ分かったことで、すごく面白いです。
実際、一歩踏み出したことによりマインドが一気にクリアになったし、旅に行ったからこそまた動き出せたところもありましたからね。
──そんな中、来年の3月から始まる47都道府県ツアーで、弾き語りというシンプルなスタイルを選んだのはどんな理由があったんですか?
いつも一緒に演奏してくれている、バンダ・インティライミの人たちが忙しくて、遊んでくれないんです……というのは冗談で(笑)。ずっと“47都道府県ツアー”という夢と“弾き語りツアー”という夢を持っていて、いつその夢を実現しようか見計らってて。旅を終えたナオト・インティライミが2ndシーズンを始めるにあたって、自分の中では4回目のデビューだと思っているので。その両方の夢をこのタイミングで実現して、新人ミュージシャンとして、改めて全国をご挨拶回りしたいなと思ったんです。
──なるほど。また新たな気持ちで「改めまして、初めましてナオト・インティライミです」と挨拶回りしたかったと。
まさにそうです。だから気持ち的には、ちょっとインディーズをザワザワさせて、メジャーデビューする新人みたいな感覚です(笑)。しかも弾き語りという一番シンプルなスタイルで、素っ裸のナオト・インティライミを見ていただければと思っています。
──しかも今回は日本武道館へと繋がるホールツアーということで、たった一人で広いステージに立つ姿はイメージ出来ていますか?
なんとなくですね。毎年、7月10日に「ナオトの日」というライブをやっていて。それは完全ノープランでやる曲も一切決めず、ステージには僕一人とギターとピアノがあるだけというライブなんですが。今回はその雰囲気も残して、半分はやる曲を決めて、半分はやる曲を決めず、遊びの部分を残したいと思ってます。常に新鮮な気持ちでやるために、出たとこ勝負な所を残しておきたいんです。あまり決め込んじゃうと自分も飽きちゃうし(笑)。だから、同じ内容が一度もないツアーになると思うので、僕もどんなライブになるのかワクワクしてます。
──ホント、どこまでも自由が性に合ってるんですね(笑)。47都道府県ツアーってところでは、もうすでに47都道府県は制覇しているんですか?
3~4年前のホールツアーで全国制覇して、今回改めてって感じです。やっぱり海外に行くにしても、日本のことを知らないと国際人とは言えないですから。海外にいると日本のことをもっと知りたくなるし、日本のことを知ると海外に伝えたくなる。結局、その繰り返しだと思うんですよね。そういった意味でも世界をガッツリ旅した後、日本をガッツリ旅したいという気持ちが今あって、47都道府県ツアーにはそんな意味もあります。(改めて日程を見て)しかし、改めて見るとすごいな、このスケジュール……(笑)。
──わはは。では最後に全国で待ってるファンや初めて見る人にメッセージを下さい。
新人のナオト・インティライミです。今回は老若男女問わず、曲なんか一曲も知らなくても楽しめる弾き語りライブです。終わった後、必ず「来て良かった!」と言ってもらえるライブにするので、騙されたと思って一度遊びに来て下さい!
■ナオト・インティライミ – 「Sunday」Music Video【映画『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2』主題歌】