生きている限り解けない“呪い”を感じながらも、希望でありたい(浜崎)
──アーバンギャルドは“メンヘラ”“リスカ”という言葉に象徴される、不安定な精神を抱えた人たちが顕在化してきたことを背景にした楽曲でシーンに登場しました。10年が経ち社会のムードもかなり変化していると思いますが、そのあたりはどう捉えていますか?
インスタとかTwitterなどを見ていても、いまの女の子はみんな病んでるというか(笑)。それを普通に言えるようになったことが良いのか悪いのかはわからないですけど、「みんなが闇を抱えている」というのが当たり前になっているし、そういう題材の曲をやっているバンドもすごく増えた印象があるんです。
私もめっちゃ病んでるし、毎晩泣いてますけど(笑)、少しずつ意識が変化しているところもあって。「この年齢になってもモラトリアムみたいな感じっていうのは、どうなんだろう?」って思ったりするんですよ。何才になっても「どうして生きてるんだろう?」とか「なんで仕事しなくちゃいけないんだろう?」って思うじゃないですか。
──40代になっても思いますね。
それって、生きている限り解けない“呪い”みたいなものだと思うんです。10代、20代のときの衝動とは違ってきてるけど、そういうことはずっと表現していきたいんですよね。「大人になったらこうじゃなくちゃいけない」という常識みたいなものとの葛藤もあると思うし。
そうですよ!まずには女性に関しては、若さがひとつの価値になっていて。それは呪いですから。女性の年齢をクリスマスケーキにたとえて「25才過ぎると…」みたいな話が昔からありますけど、いまだにネットではいろんな意見が飛び交ってるんですよ。「25才過ぎたらババアだったら、残りの55年は何なの?早く年金くださいよ」ということじゃないですか。
男の人にも「ちゃんと働いて稼いで、家庭を守って」みたいな呪いがあるし。そういうものに縛られているんだから、病んでて当然だし、それを言える場所がインターネットなんですよね。
外見はそう見えない人も、実はみんなメンヘラですからね。アーバンギャルドは「鬱フェス」というイベントをやってますが、憂鬱、ブルーな気持ちがあるのは誰しも同じ。いま浜崎さんは女性には年齢という呪い、男性には年収という呪いがあると言いましたが、そういうときにアーバンギャルドが問いかけるべきことは「あなたはどう生きるのか?」ということだと思うんです。これはリスナーだけではなく、僕自身に向けた問いかけでもあるんですが、何才になっても好きなことをやるべきだし、自分の生き方を貫いてほしいという気持ちがあって。いま制作しているアルバムでも、そういう思いを込めて作っているところがありますね。
よくわかります。アーバンギャルドのファンにとって私は、10代、20代を通してこじらせてきた女性の代表だと思うんですよ(笑)。いまも前髪パッツンだし、セーラー服や水玉の服を着てますし。もちろんアーバンギャルドのボーカリストというアイコンとして着ているわけですが、「さすがにもうそろそろ…」と思いながらも、私がそういうスタイルでライブをやることで「よこたんがああいう格好でライブをやってるんだから、私も大丈夫」という希望になるんじゃないかと最近感じていて。おこがましい話なんですけど。
──“アーバンギャルドのよこたん”であることを引き受けているということですよね、それは。ポップ・アイコンとしての使命をしっかり負っているというか。
カイリー・ミノーグやマドンナも下着みたいな恰好で歌ってますから(笑)。サブカル代表じゃないけど、そういうことをアーバンギャルドで表現できたらいいなと思っているんですよね、私は。
好きなことができるプレイグランドかつ、バンド自体が一つの作品(松永)
──話を聞いていると、2018年春にリリースされるアルバムに対する期待がさらに高まってきます。
すごくいい感じだと思いますよ。アルバムを作るたびに初期衝動が戻ってくる感じがあるんですけど、今回は特にすごくて。めちゃくちゃポップだし、躁状態です(笑)。
前作の「昭和九十年」は重厚な雰囲気のアルバムだったんですが、今回は若くなってるかも。
若返りましたね。子供が好き勝手にやってるというか(笑)。実際、好きなようにやらせてもらっているし、すごいアルバムが出来ちゃう予感がします。
──アーバンギャルドというバンド自体が、クリエイティブを発揮できる場所として機能している、と。
そうですね。「やりたいことがなくなっちゃったかも」という時期もあったんですけど、そうじゃなかったなって。今やりたいことがたくさんあるし、欲も出てきました。
アーバンギャルドは好きなことができるプレイグランドであると同時に、バンド自体が大きな意味で一つの作品でもあるんですよね。実は懐がすごく深くて、アイドルでも渋谷系でもヒップホップでも、「アーバンギャルドっぽいよね」という曲に昇華できる。そういうメディアのようなものを作れたんだなという実感もありますね。あの、最近「どうぶつの森」が流行ってるじゃないですか。
ここに来るとき、女子大生がずっと「どうぶつの森」の話をしてましたよ。
(笑)僕はやってないんですけど、クリスチーヌというキャラクターを呼ぶために、部屋の家具を水玉にしなければならないと聞きました。Twitterを見てると「水玉の家具、アーバンギャルドっぽい」って書いてる人がいっぱいいるんです。水玉の楽器を集めてアーバンのライヴを再現しているような人もいて。水玉=アーバンギャルド、みたいな刷り込みをしてきたんだなあと。
そういうことは私も感じます。セーラー服もそうですよね。
うん。10代の頃にアーバンギャルドを聴いていた人が、「どうぶつの森」で久しぶりに思い出すこともあると思うんです。思春期の頃に聴いていたものはずっと突き刺さっているだろうし、そういう人たちにもぜひ中野サンプラザのライブに来てほしいな、と。
「前は聴いてたけど、今は聴いてない」という人にこそ見てほしいですね。
しばらく聴いてなくても、「また聴きたい」というタイミングは必ず来ますから。そういう節目の意味もあるんですよね、人生の節目。だから『KEKKON SHIKI』。我々とKEKKONしましょう。
──めちゃくちゃ期待してます!本当に濃密な活動だったと思いますが、“まだ10年”という言い方もできますからね。まだまだこれからというか。
そうですね。この前、「十代の頃からアーバンギャルドを追いかけていたせいで、二十代半ばになっても彼氏が出来ないし、一度も恋愛ができなかった。責任を取って、ずっと音楽をやってください」という手紙をもらったんですよ。ちょっと重いですけど、僕としては「わかった、責任とるよ!」という感じなので。そういう重い気持ちも、全部受けとめますから!
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