インタビュー/沖 さやこ
2017年5月に再メジャーデビューをし、半年の間に新曲3曲を収録したシングルを3枚リリースするという精力的な活動で1年間を駆け抜けたORESAMA。制作と並行して自主企画ライブやワンマンライブ、イベント出演とライブ活動も意欲的に継続してきた。ふたりは2018年1月8日のワンマンライブ〈ワンダーランドへようこそ ~in Shibuya WWW X~〉を見事ソールドアウトさせ、その会場で4月にはLIQUIDROOMでのワンマンライブの開催を発表。スピードを上げて走り続けるORESAMAのライブ哲学を探っていった。
ずっと変わらず「あ、この曲歌いたい!」と思わせてくれる力がある(ぽん)
──ぽんさんと小島さんは地元で一緒に4ピースバンドを結成。バンド解散後にそれぞれ上京し、小島さんがぽんさんに声をかけてユニットとしてORESAMAを再始動させました。
上京してからも僕ひとりで曲作りをしていて。歌がメインのJ-POPを作りたかったので、「やっぱり歌ってくれる人が欲しいな」と思ったんです。昔からの縁もあって、東京に出てきていたぽんちゃんに声をかけました。ぽんちゃんはその当時からどんなタイプの音楽でも歌いこなす表現力を持っていたんです。
そのときわたしも歌う場所を探していたので、声をかけてもらってすぐに「歌いたい!」と返事をしました。
最初はぽんちゃんの歌と僕のアコギで活動をしていました。
──それがORESAMAの代名詞である「生楽器とプログラミングでもって、J-POPとディスコとファンクを融合させる」という音楽性に行き着いた経緯は?
4年くらい前にDaft PunkがPharrell WilliamsとNile Rodgersをフィーチャリングした「Get Lucky」を聴いて「新しい、かっこいいな!」と思って、ディスコやファンクを掘り下げていったのが始まりですね。僕はそれまでロックやメタルのギターも弾いていたんですけど、性に合っていたのがクリーン・ギターだったんです。Nile Rodgersはクリーンで頂点を取ったような人なので、その憧れもありましたね。ライブで歪みを多用しないのもNile Rodgersの影響です。僕ら世代にはああいう音楽は斬新で新しかったんですよね。
音楽性が変わっても小島くんの作る曲のキャッチーさはブレなくて、ずっと変わらず「あ、この曲歌いたい!」と思わせてくれる力があるんです。そういう曲にわたしが歌詞を書いていく……というのはいつも同じなので、感覚としてはいまもそんなに変わらなくて。
ディスコやファンクを取り入れてから歌のリズムは変わったと思います。でもやっぱりメロディは小学生や中学生の頃に聴いていたJ-POPの影響が自然と出ているんだと思いますね。
ライブをやるということは、ひとつ音楽を作るのと同じ(小島)
──ぽんさんはライブに対して“遊ぶ”という言葉を使うなど、ORESAMAはライブに対して熱い想いを持っているグループですよね。
わたしは普段内気というか、人前に出ていくタイプではないんですけど、わたしと近い感覚を持っている人でも楽しく盛り上がりたいときが絶対あると思うんですよね。わたしたちの作った音楽を同じ空間で共有することができる”ライブ”という唯一の場で、そういう人たちとももっと一緒に楽しめないかな、巻き込んでいけないかな……という想いが、活動を続けていくなかでさらに強くなりました。自然と身体が動いてしまう、無意識のうちに笑顔になってしまう、意識的ではなく反射的に何かをしてしまう瞬間がORESAMAのライブにあったらいいなと思います。
その日の自分たちのモードでアドリブを入れてみたり、お客さんの歓声や歌、クラップが巻き起こって、それを受けてテンションが上がっていつもより1フレーズ多く弾いたり……楽曲がライブごとに違う完成形になることを昨年の10月のワンマンで実感して、ライブはすごくクリエイティブな場だと思ったんです。ライブをやるということは、ひとつ音楽を作るのと同じだと思います。だからこそもっと大勢のお客さんと一緒に、ひとつの音楽を作りあげてみたいんですよね。
──ORESAMAの掲げる“草食男女にも優しいダンスミュージック”がライブに影響しているところも大きいですか?
ここ1、2年でライブを重ねるごとにより意識するようになって、楽曲制作面でもライブパフォーマンスを踏まえて考えるようになりました。僕も初めてライブハウスに行くとき「どんなところなんだろう?」と怖かったから、最初踏み出すのは勇気が要ると思うんですよね。ORESAMAのライブは会場の前列で盛り上がってくれる人も、後ろでお酒を飲みながらステージを観るという楽しみ方をしてくれている人もいて、みんな自由に楽しんでくれていて。不安に思っている人も一度足を運んでくれたらうれしいです。
こちらからクラップや手を挙げたりする“お誘い”はするんですけど、強制ではなくて。ORESAMAのライブは若い男の子や女の子だけでなく、働き盛りのスーツの人、Nile Rodgersリアルタイム世代の方々からお父さんと一緒に来たという小さいお子さんまで年齢層も広くて、音楽好きの人やアニメで知ってくださった人、海外の方もいらっしゃって……という感じで、ほんと渋谷の街みたい。
確かにそうだね(笑)。小学館の幼児教室「ドラキッズ」用に曲を書き下ろしたこともあって、お子さんが曲に合わせて踊ってくれていたりするんです。全年齢に届いているのはうれしいですね。
そんな幅広い方々が、それぞれの楽しみ方で遊んでくれていることがステージからわかるんですよね。知らない者同士が同じ場所に集まって同じ曲に合わせて同じリズムを刻んだり……それは奇跡だなとすごく思うんです。だからその瞬間だけはみんなのパーティーであってほしいし、楽しめる空間であってほしい。それが少しずつ分かるようになってきたので、この輪をもっと広げていきたいですね。
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