SPYAIRが約束通り、今年も真夏の野外ライブ「JUST LIKE THIS 2016」を開催する。バンドの活動停止を経て、改めて自分たちが育った“原点”に戻ろうと昨年、山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストにて4年ぶりに単独野外ライブ「JUST LIKE THIS 2015」を開催。1万人のオーディエンスを熱狂させたあの熱いライブが、今年はさらにパワーアップして7月30日、同場所に戻ってくる。DI:GA onlineではこのイベントを盛り上げるべく、こらから2週に渡ってメンバーのIKE(Vo)とKENTA(Ds)を交えて<JUST LIKE THIS>を大特集。彼らが「JUST LIKE THIS 2015」を振り返りつつSPYAIRと野外の関係について語った前編、今年の「JUST LIKE THIS 2016」のテーマ“ロックスター”について語った後編、それぞれお楽しみください。
インタビュー:東條祥恵
──今年も7月30日、SPYAIR真夏の単独野外ライブ「JUST LIKE THIS 2016」の開催が決定しました。
KENTA 俺らはもうすでにワクワクさん?
IKE ワクワクさんだね(微笑)
──今年も開催場所は昨年と同じ富士急ハイランド・コニファーフォレスト。この場所で昨年初めてやってみてどんな感触でしたか?
KENTA 気持ちいいね。あそこは。富士山があって。
IKE 樹々もあって。
KENTA 青い空もあって。これは前の取材で教えてもらったことなんですけど。富士登山している人に(富士急のライブの)音が聴こえるらしいです。たまたま取材してくれたアナウンサーの方が、去年8月8日に富士山に登ってて。
IKE 俺らの「JUST LIKE THIS 2015」に来ないで(笑)富士登山してたらしいですよ。
KENTA そうしたら、登山中に音が聴こえて、最後の打ち上げ花火も見えたっていってて。『ベースとドラム、すごく聴こえましたよ』といわれてびっくりして。
IKE 俺らはテンション上がりまくりました。
KENTA めっちゃいい話だと思いません?
──ええ。まさに富士急ならではのエピソードですね。
KENTA そう。だから、今年はスタッフの誰かに富士登山に行ってもらって俺らの音が届いてるか確認してきてもらおうと思って(笑)
IKE 音って遮るものがあればあるほど遠くに飛ばないじゃないですか。でも、富士山まで届いてたって話を聞いて「ああ、なるほどね」と納得したんだけど。絶対、富士急にはいいものがある。やってみて、とにかく俺が今までやったライブのなかでもTOP5に入るぐらい音が良かったんですよ!
KENTA めっちゃ良かったね。やる前には音はあんまり良くないんじゃないかと思ってたもんね?
IKE でも、やったら突き抜けてて、すっごい気持ちよかった(微笑)。だから、ここで何回もやりてぇなとすぐ思いました。1つ、俺たちにはまる場所を見つけた感覚はあった。
KENTA ホームとなりうる場所ですね。
──では、改めて昨年この場所でやったライブを振り返ってみて、一番印象に残っているシーンを教えてください。
IKE いろいろあるんだけど、俺は登場シーンが忘れられないですね。客席の真ん中に作った花道の先端から登場した瞬間「みんなの真ん中にいる」というのをすっごい感じられたオープニングで、とても幸せだったんですよ。そこからステージを見ると、そこにはメンバーがいて。俺とお客さんが一緒になってメンバーを攻めてく感じがしてゾクゾクした。
KENTA 1万人とIKE対3人じゃあ俺ら勝ち目ないじゃん(笑)
IKE 俺がバンドのライブ観てて、すげぇ勿体ないなと思うのが、決められた場所だけでライブすることなんですよ。ステージって、こっちが行動起こせば、いくらでも広がりますからね。こっちがお客さんを包み込むぐらいの位置に移動して演奏するだけで、ステージは無限なんです。これは、俺のポリシーにしたいなと思ってることなんだけど。どんな会場でやるときも、俺はちゃんと人のそばで歌いたい。生のライブのときぐらい、人の近くで歌ってる様を見せたい。だから、お客さんと“ゼロ距離”のところまで近づくことを今後もずっとやっていきますよ。そのきっかけを与えてくれたのが、去年の富士急のオープニングだね。
KENTA そうなんだ。俺は花火が見られなかったのが、いまだに心残りで仕方ない(苦笑)。俺、客席に投げる用のスティックをいつも選ぶんですよ。ちゃんと当日使ったもので、なおかつボロボロすぎないほどよいものを投げようと決めてるんですね。
──投げるスティックも、どれでもいい訳じゃない、と。
KENTA そうなんです。俺、嫌いなんです。ドラマーが投げたスティックがボロボロなのは。
IKE そんなこと観客は思わないよ。「こんなに叩いてくれてたんだ」って思うから(微笑)
KENTA でも俺はドラマーとしてそれは許せない。俺、あんなに好きなKORNのドラマーが投げたやつ、IKEがとったでしょ?
IKE (前ドラマーの)デイヴィッド(・シルヴェリア)が投げたスティックがバーンと飛んできて、俺が取ったんです(笑顔)
KENTA それをIKEからもらったんだけど。デイヴィッドのスティックはほどよい感じだったんです。ライブで2〜3曲叩いて交換したんだろうな、ぐらいのスティックで。あれが俺はすごい嬉かったんです。取ったスティックがボロボロだったら『どうせ練習で叩いたのを投げてるんでしょ?』って思っちゃうから。
IKE ドラマーならではだな〜。考え方が(微笑)
KENTA それで、あの日もほどよい感じのものを選んでたらなかなかいいのが見つからなくて。見つけた後、急いでステージの前に行ったら花火は全部散ってて。『終わったな、俺の夏は』という気持ちだったんですよ。だから、今年は前もって投げるの用意しとくわ(微笑)
──今年はそういう部分もバージョンアップした「JUST LIKE THIS」が楽しめそうですね。
IKE 「JUST LIKE THIS」は俺らが勉強させてもらえる場所でもある。
──では、この「JUST LIKE THIS」という冠をつけた野外ライブをこうして継続してやっていくことについて、そこにはSPYAIRのどんな想いが込められているんでしょうか。
KENTA このバンドを始めてからデビューするまで延々と野外ライブをやってきたから、野外ライブはSPYAIRの“血”みたいなもので、俺らを形成している大事な一つの要素なんですね。
IKE 野外には屋内でやってるだけじゃあ感じられないものがあるんです。昨今外で音を鳴らすのって本当にハードル高いとおもうんですよ。でも、俺らはたまたま日常的にライブ活動を外でやってきたから野外の音を知っている。『こんないいものを知らないで死ぬなんてかわいそうじゃん』っていう意味でこのイベントで継続していって。野外の音の気持ちよさをファンにも、いったら後輩たちにも届けていきたい。それが、俺らの想いかな。「ウッドストック1999」でKORNがさ、『Are you ready?』っていってライブが始めるシーンがあるんだけど。俺、あれがすっごい好きで(笑顔)。そういうデッカイ野外フェスに憧れがあるんでしょうね。俺自身も。憧れの一つの形なんです。この「JUST LIKE THIS」は。
SPYAIRインタビュー[後編]