寺岡呼人「30年ずっと止まらず走ってきた自分へのご褒美」バースデーライブ『50歳/50祭』へ向け話を聞いた

──来年の2月7日、50歳の誕生日に、武道館でバースデーライブが開催されます。いつ頃に企画したのですか？

今年の早い段階で決めました。

──これまで様々な世代のミュージシャンを迎えてのライブイベント『Golden Circle』を20回、開催してきてますが、それとはまた違ったものということになるのでしょうか？

『Golden Circle』よりももうちょっとプライベート感のあるものになると思います。『Golden Circle』は3世代を繋ぐ、という大義みたいなのがあるんですけど、これは自分の誕生日のステージにしたいなと思っています。

──桜井和寿さん、ゆず、Kさん、そしてさだまさしさんという、寺岡さんと縁の深い方々がゲストで参加します。

さださんとライブでご一緒するのは初めてなんですよ。これまでも何度か、『Golden Circle』への参加をお願いしたことがあったんですけど、スケジュールが合わなかったりして、なかなか実現せず、そうこうするうちに、個人的に仲良くさせていただくようになり、お宅に呼んでいただいたりする関係が続く中で、出演していただけることになりました。そもそも僕が生まれて初めて観たコンサートがさださんのステージで。小学校5、6年の時でした。当時、「防人の詩」や「道化師のソネット」が大ヒットしていて、そんな人が福山に来るというので、親に頼んで、チケットを買ってもらったんだと思います。「防人の詩」が社会的に問題になっていたことを冗談にしながら、「世間を騒がせてる曲をやります」っておっしゃってから、「防人の詩」を演奏されたことも覚えていますね。
（編集注：初めて見たステージのコラムで詳細を語っています）

──さださんに出演依頼した時って、どんな感じだったんですか？

さださんって、とても男っぽくて、決めたことはひと言で終わらせてしまう方なんですよ。今回、「もし空いていたら、出ていただきたいのですが」とお願いした時も、いろいろと予定が入っていたみたいなんですが、「空けとくわ」って。そうやってひと言ですませるところからも男気を感じますし、いつもお話させていただいていても、かっこいいなと思っています。「トイレの神様」も「お義父さん」も僕の中の“さだイズム”を僕というフィルターを通して出していく中から生まれた作品なんですよ。一方的に勝手に“さだイズム”の後継者みたいな意識を持っているので、その意味でもさださんに出演していただけるのは大変ありがたいですし、感慨深いものがありますね。

──桜井さんとは27年間の盟友ですし、ゆずとも20年の付き合いということになります。

気が付けば、いつのまにか、という感じですね(笑)。

──Kさんとも音楽を通じての交流が深いんですよね。

今年ずっと一緒にアルバムを作っていますし、音楽的にもたくさん刺激をもらっています。さださんというひと回り以上年上で、たくさん経験を積まれて、4000何回もライブをやってる方の背中を見させていただけることもありがたいですし、自分にとってゆかりの深い人たちと同じ時を共有できることも幸せだなと思っています。

──2月の武道館、どんなステージにしたいと思っていますか？

ざっくりしているんですけど、海外の番組で、クリス・ボッティというトランペッターのアニバーサリーのステージを放映していて、スティーブン・タイラーからジョン・メイヤーまで、名だたる人たちがゲストとして登場したんですが、常にクリス・ボッティがトランペットを吹いて、絡んでしたんですよ。同じように、僕がホストとして、ゲストを招いて、歌を一緒に歌ったり、ギターを弾いたりして、一緒に共演する感じでやれたらいいなと思っています。

──ベースを弾いたりは？

まだわからないですが、あるかもしれないですね。

──見に来る人へのメッセージをいただけますか？

つい先日、仲井戸麗市さんのステージを野音に見に行ってきたんですが、10月9日のCHABOさんの誕生日に行われたアニバーサリー・ライブで、「私ごとではありますが、今日が誕生日で、わざわざ来てくれてありがとう」っておっしゃっていたんですが、まさにそんな感じといいますか。今回、出演者全員の集合写真を撮ったんですが、普通ならそれぞれのアーティスト写真を組み合わせるところを、「お祝い事でもあるので、せっかくだから集合写真を撮りたいんですが」とマネージメントの方々にダメ元でお願いしました。みなさん、忙しい中、奇跡の1日というのがありまして、集合写真を撮らせていただきまして。自分の誕生日のライブの宣伝のために、わざわざ集まっていただいて。私ごとなんですけど、30年ずっと止まらず走ってきた自分へのご褒美だと思っているので、皆さんにもぜひ足を運んでもらいたいなと思っています。

──50歳からの音楽活動について、こんなスタンスでやっていきたいという抱負はありますか？

やること自体は50歳になったからと言って、変わらないと思うんですよ。ミュージシャンとして、レコーディングして、ライブをやって、ということなので。70代の先輩方がおっしゃっているように、より攻めるというか、現状に留まらないようにしたいということは思っていますね。おもしろそうだから、やろうよという精神を自分の中だけに閉じ込めず、広く開け放って、活動していけたらと思っています。