インタビュー/東條祥恵
音楽と演芸、笑いがとれる音楽パフォーマンスとリズムネタ。独自のハイブリッドな表現方法で、常に賛否両論を巻き起こす既成概念にとらわれない新しいやり方を次々と編み出し、現在はRADIO FISHとして音楽業界と演芸業界を席巻。兼業アーティストとして「PERFECT HUMAN」でサマソニから紅白まで、いっきに大ブレイクを遂げた彼らが、このたび初の全国ツアーを開催するのだが。これがまた、兼業アーティストならではの驚きのアイデア満載なのだ。「PERFECT HUMAN」から次のフェーズへと進化するRADIO FISHについてNAKATAとSHINGOに話を訊いた。
──昨年は「PERFECT HUMAN」で大ヒット、年末には念願だったNHKの『紅白歌合戦』にその勢いのまま出場!! ここまでの大ブレイクもある意味想定内だったんですか?
どうなんですか?
上半期はブレイクしたものの下半期はどうするっていう懸念がじつはすごくありました。そんなときに、ピコ太郎さんが(「Pen-Pineapple-Apple-Pen」で)きて。元々古坂(大魔王)さんとは関係性があったので、これぐらいなら大丈夫だろうというところで喧嘩をふっかけて。それを紅白で和解するという展開を紅白サイドも面白がってくれて。そういうのも含めて、ピコ太郎さんのお陰で下半期もやれてはいたかなと。
そうだね。
──念願だった紅白出場はいかがでしたか?
とてつもない経験をさせて頂きました。途中、藤森君は感極まって耳が一瞬聞こえなくなるという感覚に襲われたらしいですよ。
そう。生放送の本番中に、緊張と高揚からなのか、なにも聴こえなくなって。ちょうど僕と入れ替わってあっちゃんが前に出ていって「PERFECT HUMAN」っていうところだったからよかったんですけど。本当になにも聴こえなくて。そんな不思議な体験をしました。
──お笑いの舞台でもそういう経験をしたことはあるんですか?
お笑いの舞台ではないですね。それぐらい僕は緊張してたんでしょうね。それぞれ別の緊張の仕方だったと思うんです。相方はずっと待機してる緊張で、僕は最初一人で前に出ていくという緊張でした。そんな不思議な体験をしつつも、僕はミーハーなんで、星野源さんの後ろにくっついてステージに出たり、ジャニーズのV6の岡田准一さんがオープニングのときにフレンドリーに接して下さったり、イエモンのみなさんにご挨拶させてもらったり、X JAPANの隣に並んだり。普通にいち素人ファンとして、そういうものを楽しんでました。
後は、ガッキー(新垣結衣)ね。廊下で藤森君がなんか拝んでるなと思ったら、ガッキーの楽屋の“ばり”を拝んでて(笑)
拝んで写真も撮りました。
──ギャハハハ(爆笑)。ステージの緊張とは裏腹に、めちゃくちゃ紅白のバックステージを満喫してるじゃないですか!
舞い上がってしまうぐらいの豪華メンバーでしたからね。
で、ステージに出たら一瞬で終わりました。ステージはものすごい光に包まれてて、エネルギーの風が向こうから吹いてくるんですよ!それに気圧されそうだったんで、笑いながら出て押し返して。演ってる間、僕はずっと気持ちよかったですね。楽しくて。恍惚の瞬間でした。
──そうでしたか。お笑いのライブと音楽のライブでは楽しさも違うんですか?
同じライブでもこの2つは全然違いますね。一番大きく違うのはキャパ。お笑いはやれても500人。音楽ライブってなると、僕らでも去年1300人とかいう規模でやれてますし。フェスとか出ると何万人ですからね。表現が届く人数が違うんですよ。
──たしかに。
すごく大多数の人たちに同時に届けられるのは音楽なのかなと思ってます。ただね、お笑いのライブの快感は、また音楽ライブとは全然違うんですよ。
──どんなところが違うんですか?
お笑いのライブで、自分たちでここでお客さんを笑わせるんだって狙ったところで、ドンと笑い声がくる。それを聞いたときのアドレナリンの出方は、音楽ライブとは全然違うんですよね。音楽ライブで出ていったときの“きゃー”っていう歓声と、お笑いのライブで笑いがとれたとき。喜びには変わりはないんですよ?でも、体の中での変換の仕方が僕は違うんでしょうね。僕はね、音楽ライブはすごい楽しいです。出ていくときからワクワクしながら出ていく。でも、お笑いはめちゃくちゃ緊張します。ウケる、ウケないが明確なんで。お笑いのライブは前日からナーバスになって、出ていくまでに緊張感が高まって高まって、ドカンとウケたときはものすっごい気持ちいい。だからこそ、どっちも大事にしたいんです。