③ トレモノの目指す音
──4人が揃ってから今のように音が仕上がったのはいつ頃ですか?
木田 (メンバーに)ここ5年くらいじゃね? 最初の3年ぐらいはすげえフラフラしてたもんね。
狩俣 いろんなものをやってみて、うまくいかなくて。
木田 四つ打ちのダンス・ミュージックみたいなのをやったり、超どポップな曲をやったり、ファンキーなのをやったりして、収拾がつかなくなっていて。
で、いちばん最初に自分らで作った『トレモノの音』ってアルバムがあるんですけど、そこでカチッと決まったよね。「ゆらゆら」って曲が今作にも入ってるんですけど、レゲエの裏打ちのビートの入れ方とか、そこでようやく確立して。自分らがやりたい音楽が、自分らなりにわかったというか。
バック・ビートは、レゲエとかダブとかのルーツ・ミュージックのそれだっていうのは根底にあって、でも、たくさんの人に届くためには何が必要かっていうと、いいメロディだったり、わかりやすい歌詞だったりが大事だなと思って。
特に今作はそう思って作りました。そういう歌で、いちばん響くものってなんだろう?って考えた時に……それぞれ、故郷ってあるじゃないですか? それを題材にして曲を作れたらいちばんいいな、聴く人が自分を当てはめてくれれば届くんじゃないかな、と思って。
僕らは島出身だし、『island island』ってタイトルで、自分らの故郷を思って作りましたね。
④ ギター難波が「沖縄居酒屋ゆいゆい」店主になるまで
──難波さんはそもそも、どのようにしてこのお店を始めたんですか?
難波良(Gt) もともと私は、18で東京に出てきて、音楽の専門学校に通って、そのあともずっとバンドをやってたんですけれども。突然母親が……西表島で商売をやってるんですけど。居酒屋、スナック、民宿……どれもほんと、クセの強い店で(笑)。
その母親が、父親とかなり激しい夫婦ゲンカをしたみたいで、東京に逃げて来たんですよ。僕は当時、六畳一間のアパートに住んでたんですけど、そこに転がり込んできて。
23歳で、六畳一間に母ちゃんとふたりで生活って、けっこうキツいじゃないですか。お互いにツラくなってきて。そしたら母親が「引っ越すわ、そこで店やる」って言い出して、その2ヵ月後にはこの店がオープンしていて。
木田・仲間・狩俣 (笑)。
難波 で、「おまえバイトやめろ。物件決めたから店を手伝え」って。それが11年前で、私はコンビニのバイトをやめて──。
木田 ここを手伝いながら、僕と前のバンドをやってたんですけど。
難波 それで3年ぐらいしたら、母親が父親と仲直りして、西表に帰っちゃったんです。
仲間・狩俣 わはははは!
木田 はははは。知ってるのにおもしろい、何回きいても。
難波 それで店と僕だけ残ったんです。まあ、俺が音楽やってるから、母ちゃんが店を残してくれた、と俺は思ってるんですけど。
──そう思いたいと。
難波 思いたいです。そう思えば美談になるじゃないですか? でも、毎月なんか、めっちゃ請求されるんです。
木田・仲間 (爆笑)。
狩俣 フランチャイズなの?
難波 いや、ほんとそうなの。母ちゃんが帰って「あ、俺の店になったんだな」っていうところから、スタッフを集めて、自分で勉強して経営するようにはしたんですけど。そのあともずっとカネ取られてましたね。
──今は?
難波 いや、さすがに言いました、5年くらい経った時に「いつまで払うんですか? とっくに減価償却してると思うんですが」と(笑)。終わることのないローンを払い続けてる感じだったんで。
⑤ 11/17、代官山UNITワンマンは?
──代官山UNITのライブ、こんなことやりたいと考えていることはあります?
木田 あの、とにかく……「ワーッ!」って。みんなが「ワーッ!」ってなるような。
難波 全然わかんない(笑)。
木田 いや、ほら、沖縄に行った時に、空港下りて海に向かうじゃないですか? 海を見たら「ワーッ!」てなるじゃないですか?気持ちが昂ぶってくるじゃないですか? 『island island』ってアルバムもそうなんですけど、その感じをうまく出せればいいかな、と思ってますね。南の島を感じてもらえるような空間作りですね、テーマは。
セットリストに関しては、もう、グイグイいきます。ビールが進むような。
狩俣 「ビールが進む」はよく言われますね、普段から。
木田 ライブハウスでやるんですけど、お客さんの感覚は野外にいるような。そういう居心地のよさを作っていけたらなと思います。前に代々木公園のイベントに出させてもらった時、小さな子供たちが踊ってくれたんですね。
狩俣 ああ、あれ、うれしかった。踊ってて、知らない子同士が友達になってて。
木田 ライブハウスだけど、ああいう空気感にできたらなあって。
沖縄居酒屋ゆいゆい
難波良(Gt)が切り盛りする沖縄料理店。
おじいの作る絶品沖縄料理と、店主難波の人柄に集まったお客さんで連日賑わう、まちの人気店。
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131709/13096819/