人間椅子 20枚目のアルバム『異次元からの咆哮』が完成!今作の聴きどころ、ツアーへの意気込みをメンバー全員にインタビュー!

インタビュー | 2017.10.02 18:00

──ほかに曲作りで苦労した曲はありました?

ningenisu_wajima
3曲目「超自然現象」の歌詞が書けなくて苦労しましたね。歌詞期間をもらって書いていて、曲も短いしすぐに書けるだろうと思っていたんですけど。超能力とか異次元のことを観念的に難しく書き始めちゃって、曲も変拍子で凝った感じだったし、何かただのプログレ風味の曲になっちゃうなあと思ったら手が止まって。そこで、変拍子だからこそ、キャッチーで分かりやすい歌詞にした方が面白いんじゃないかと思って、シンプルな言葉で最初から書き直して。全曲通して言ってる「この世は実態がないかも知れないから、イメージで世界は変わるかも知れないし、そう思えば超能力も来るかも知れない」ということを<来る 来る ミラクルパワー>という言葉で表したんですが。この短い詞が出るまでが、すごく大変でした!そしたら、レコーディングの時に「篠原ともえさんに『クルクルミラクル』って曲がある」と聞いて。僕は知らなかっただけで、パクったわけではないんです!(笑)

──悩みに悩んだ言葉が篠原ともえさんの曲とカブるという(笑)。楽器の話だと和嶋さんは今回、オリジナルモデルが完成して、レコーディングでも使用しているんですよね?

ningenisu_wajima
レコーディングに間に合うようにシグネイチャーモデルを作ろうと打ち合わせて、ダビング等で使用しました。まだ鳴らしきれてなくて、ピックアップとか試行錯誤中なんですけど。弾き心地は自分の持ってるSGに限りなく近いので、違和感なく弾けています。このギターは兵庫のエレキギター工房、Sago New Material Guitarsさんで作っていただいたんですけど、すごく熱心に親身になってやっていただいて。オリジナルギターを作るのはギタリストの夢でもありますし、形が良くて音も良かったら最高ですよ。本当に嬉しいです。最近は調整しながら、ライブでも使い始めているんです。

──鈴木さんは作業中にフラッと買ってきたベースをさっそく使ったんですよね?

ningenisu_suzuki
そうです。フェンダーのプレシジョンという、世の中のベーシストが一番使っているスタンダードなベースなんですけど。昔、和嶋くんに「似合わない」って言われて、それ以来使っていなくて(笑)。音のバランスはすごく良いし、すごく弾きやすいベースなので、レコーディング用に買って使いました。結果、古臭い良い音で録れたので満足しているんですけど、この前、スタジオで和嶋くんに「音にパンチがない」と言われて。いつものベースで弾いたら、ノブも「こっちの方がハイが出て聴きやすい」っていうから、二人から言われたらしょうがないと思って、ピックアップを変えて。もはやオリジナルになっちゃってるんですけど、これならライブでも使えそうなので、これからちょっとずつ使っていこうかなと思ってます。次のツアーでも見れるんじゃないかな?

──鈴木さんとノブさんは大変だった曲や思い入れのある曲はありますか?

ningenisu_suzuki
僕は50歳で中型免許を取得した記念に作った、「地獄のヘビーライダー」は思い入れが強いですね。それまでは原付で、カブで1日100kmとか走ってて。もう限界だと思って中免を取って、今はマグザムっていうビッグスクーターに乗ってるんですけど。すごい楽チンだし、バイクに乗るのが楽しくて。このタイミングでしか生まれなかった曲ですね。
ningenisu_nobu
僕は大変だったって意味で、1曲目「虚無の声」ですね。一番最後に録ったんですけど、曲が出来てきたのが当日で(笑)。その場で聴いてその場で録ったんですけど、それがアルバムのリード曲になったりして。得てしてそういうもんなんだなぁと思いました。過去にもそういうことがあって、今ではライブの定番曲になっていたりしますしね。
ningenisu_suzuki
和嶋くんはね、背水の陣にならないと良いものを出してきませんよ。
ningenisu_wajima
さすが、よく分かってる(笑)。ギリギリになると特別、緊張感がある曲が出来るんですよ。「この一曲があれば、アルバムが良い感じになる」というのは分かってて、常に頭の中にありながら、形になるのは最後になってしまうんですよね。

──オリジナル・アルバムとしては今回で20枚目ですけど、そういうことがあるからこそ、何枚作ってもアルバム制作って新鮮だし、楽しいんでしょうね。

ningenisu_wajima
本当そうですね。何枚作ってもハラハラドキドキの連続で飽きないですよ。

──和嶋さんが紙資料で、<我々が音楽を聴いて感動するのは、それが目に見えない、異世界の扉を開いてくれるからではないでしょうか?>と書いていて。バンド生活28年目を迎えてなお、そういう新鮮な気持ちで音楽が出来ているのがすごく素敵だと思いました。

ningenisu_wajima
音楽はワクワクさせてくれますよ、演奏したら消えていくものをやってるんですから。こんな面白いことはないです。ライブが楽しいのもそういう儚いところで。みんなで同じ空気を楽しんで、終わってしまったらねぷた祭りの山車のように形は残らないんです。

──10月31日仙台から始まるワンマンツアーがスタート。今回、ツアーにも地元・弘前が入っていますが、バンドとして帰郷する時にはどんな想いがあるんですか?

ningenisu_wajima
田舎には特有の足かせのような物があったり、田舎にも良い面と悪い面があると思うし。田舎出身でも田舎が好きな人とそうでない人がいると思うんです。僕はどちらかというと田舎があまり好きではなく、馴染めないところがあって東京に出てきたクチだから。若い頃は地元でライブをすることが重くて、凱旋って気持ちになれなかったんです。例えば寺山修司の作品って必ずしも田舎を良く描いていなくて、田舎に対する愛憎入り乱れた感じがあったりして、それに近い感情が僕にもあったんだけど。ある時、「自分たちはこの土地の出身だから、こういう表現になっているんだ」ってことに気付いてからは、すごく楽しくなりました。それが10年くらい前かな?だから、田舎を乗り越えるのにそれくらい時間がかかったってことですよね。それからは青森でのライブは特別だし、どこか恩返しをしてるような感覚もありますね。
ningenisu_suzuki
僕は弘前にどんどん人が減っていてロック人口も少なくなってて、ハードロック人口もすごく少なくなってるのが地元に帰るとよく分かって。僕らが地元でライブをすることで、少しでもハードロック人口が増えてくれれば良いなというのは考えますね。僕は何ヶ月かに一度、古いハードロックのDJをやっていて、それも若いロックファンにハードロックを普及出来たらという気持ちでやってるんですけど。青森にももっとハードロックが根付いたら良いなと思ってやっているところはありますね。

──人間椅子のライブとか、若い子が見たらすごく新鮮に映る気がします。

ningenisu_wajima
昔から応援してくれる人もたくさんいるんですけどここ数年、その手応えはすごく感じますね。田舎を歩いていて、「頑張って下さい」と言われるのも素直に嬉しくて。僕、田舎が好きじゃなかったのは、田舎って他人が上手くいくと足を引っ張るようなひがみ根性みたいなのがあると思いこんでたんです。でも、実はそうじゃなくて素直に応援してくれる人もいっぱいいることが分かって。握手を求められたりすると、すごく嬉しいですね。
ningenisu_suzuki
それはそうだと思うよ。自分も青森県人だっていうだけで、応援したくなるもん。
ningenisu_wajima
そうなんだよね。同郷意識だけで応援してくれる人もたくさんいて、同世代の人も同世代が頑張ってるってところで声をかけてくれるんだよね。
ningenisu_nobu
Twitterには、「弘前のアイドルと言えば人間椅子」って書いてあったよ(笑)。
ningenisu_suzuki
アイドルじゃないでしょう(笑)。弘前にはりんご娘ってアイドルもいますよ。

──同郷のよしみということで、人間椅子とりんご娘がいつか共演する日がくるかも知れないですね(笑)。では、最後にワンマンツアーへの意気込みを聞かせて下さい。

ningenisu_wajima
アルバムリリースツアーですから、新曲は各地に分けて全部やります。その中に普段やっている定番曲を入れて、盛り上げていけると思っていて。お客さんと一緒に、目には見えないものを楽しめたらいいなと思ってます。そこには生きてる実感があると思うし、清々しさや楽しさもあると思うし。そういったものを持ち帰っていただければ良いなと思っています。ライブハウスという異次元でお待ちしています!

 

■「虚無の声」MUSIC VIDEO

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『異次元からの咆哮 ~リリース記念ワンマンツアー~』

2017年11月19日(日) Zepp DiverCity(TOKYO)
17:00 開場 / 18:00 開演
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NEW ALBUM「異次元からの咆哮」
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