HINTOのおいしいところはここ!楽曲制作も演奏も、メンバーのパワーバランスが大事、という安部コウセイに、1st EP「LAST NIGHT」やツアー、さまざまを問う。

インタビュー | 2017.09.23 12:00

原液のエキスが自分にとって誠実なものであれば、そこから先の枝葉はメンバーやお客さんのもの

──コウセイさんの書く歌詞は主人公を立てて物語が進むものが多いなか、『LAST NIGHT』は主人公の心情が綴られているものばかりで。

確かに今回の4曲にストーリー性はないかも。主観的というか。

──それもあって『LAST NIGHT』にはコウセイさんの想いが綴られているのかなと思ったのですが、「SUMMERGAZER」が生まれたきっかけの感じだと、そうでもなさそうですね(笑)

俺の気持ちが綴られているように見える歌詞、ですね(笑)。「otonaLOVE」では人との距離感に関することを歌っていたりして、もちろん僕の想いも反映されているんですけど、歌詞に僕のパーソナルな部分が見えすぎるのは嫌なんですよ。そこがほどよくないと聴いた人の入る隙間がない気がしていて。意味わかるようなわからないような感じとか、「本当にこの人こう思ってるのかな?」と思う配合率やバランス感がほどよいものがかっこいいと思っているんですよね。俺の苦しみとか悲しみとかは、創作におけるパワーの源や理由になっていればいい。でもあまりにも引きの視点で書くのも飽きてきたし退屈だなと思ってきたところだったので、今回はちょっとそのカメラを近付けてみたというか。

──コウセイさんはメンバーやお客さんのように他者を主体にした考え方をなさるし、音楽ともほどよい距離を保っているなと。

ライブでも俺の歌でメンバーを興奮させたいという気持ちがまずあるんですよ。例えばフェスのセットリストにバンドの代表曲を入れるのは、それを楽しみにしているお客さんが多いからだし。「自分はこう表現したいんだ!」とかはあまりなくて、みんなに楽しんでもらいたいんです。でもなんでもいいとは思っていないんだよな(笑)。原液のエキスが自分にとって誠実なものであれば、「そこから先の枝葉はメンバーやお客さんのものなんじゃない?」と思っているというか。

──SPARTA LOCALSやHINTOのアンサンブルが全員主役として成立していることにも納得です。

俺はそういうバンドがかっこいいと思うから。全員のキャラが立つようにというのはSPARTA LOCALSからずっと一貫して思っていることなので、自分なりにみんなを立てていきたいんです。それぞれ才能のあるプレイヤーだから、「ビッツ(菱谷昌弘)はこういうドラム叩くんだよ、(安部)光広にはこういう面もあるんだよ、真くんはこういうギターを弾くんだよ」とうまく紹介したい。だからメンバーのパワーバランスが並列に見えるんだと思います。

音楽に関してはいろいろチャレンジできる気がする

──HINTOの制作は感覚的な部分と数学的な部分が両方必要なんですね。

最初のきっかけは感覚で、それを広げていくのは数学ですね。パズルです。解散前のSPARTA LOCALSは何も知らなかったから何も考えていなくて、感情や気分に左右されるバンドだった。スタジオ入って「なんだよ辞めてやるよ!」「お前辞めちまえ!」ってケンカして……そういう感じも含めて曲に落とし込んでいく。だからこそ特大ホームランを打てるんだけど、それ以外はほぼアウト、みたいな(笑)。そりゃあ長く続くわけないわ(笑)

──その反動によって生まれたのがHINTO?

そうですね。SPARTA LOCALSが解散してまず思ったのが「闇雲に音楽をやるのはやめよう。もっとちゃんと音楽の勉強をしたい」ということで。あと、SPARTA LOCALSが根拠なく「俺最高、完璧」と思っているまったく客観性がないバンドだったので、もっと客観的に曲を作りたいと思った。だからHINTOでは客観的になろうと努力をしたんです。でも客観的になりすぎたら何もできなくなっちゃうなって(笑)。でも俺はミュージシャンだしボーカリストだから、最近はもっと主観的でもいいのかなとも思っています。

──コウセイさんの美学である「その瞬間にやりたいと思ったことをやる」というのは、変わり続けることなのかもしれないですね。HINTOが「DREAMdeath!」というメタルナンバーを入れたのもそうでしょうし(笑)

これをHINTOでやるのがアリかナシかわかんないけど(笑)、アリにしないと!という視点で作っていきましたね。曲の熱さに反比例してボーカルは無感情にして。HINTOの範囲のなかに入れるのが難しかったかな。俺は住む場所も出来る限り変えたくない消極的で保守的な人間なんだけど、音楽に関しては変わっていけるんですよ。いろいろチャレンジできる気がするんですよね。

──9月23日から千葉LOOKを皮切りに全国5ヶ所を回るワンマンツアーも面白いものになりそうですね。ファイナルの東京キネマ倶楽部も特殊な会場ですし。

キネマ倶楽部は独特の雰囲気があるので、HINTOと組み合わさったときにおかしなことになるんじゃないか……という期待はありますね。ワンマンをやるのは初めてなので、HINTOとキネマ倶楽部が合うか合わないかも現段階ではわからない。どうなるのかみなさんに確かめに来てほしいですね。

 

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■『SUMMERGAZER』Music Video

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HINTO”LAST NIGHT”release ONE-MAN TOUR 2017

9月23日(土・祝) 千葉LOOK ※1st EP『LAST NIGHT』先行販売実施
10月9日(月・祝) 名古屋 HUCK FINN
10月20日(金) 大阪 心斎橋 Music Club JANUS
10月22日(日) 福岡 Utero
11月3日(金・祝) 東京キネマ倶楽部
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RELEASE

1st EP「LAST NIGHT」
(cat fish label)
10月4日(水) SALE