前作よりも力が抜けて、ちょっと普段着っぽくなるのか……毎回ひらめきのままに作ってるから、こうなるだろうっていうのが上手く言えないんだよね(笑)。
──さて、ライヴで披露されてきた新曲も含めて、現在ニュー・アルバムの制作に取りかかっているということですが、基本は春のツアーを回った4人で作っているんですか?
ツアーを一緒に回った4人のバージョンもメインにしつつ、曲ごとにいろんなスタイルで。前作よりも力が抜けて、ちょっと普段着っぽくなるのか……毎回ひらめきのままに作ってるから、こうなるだろうっていうのが上手く言えないんだよね(笑)。メンバーそれぞれのアイディアを汲み取って、セッションみたいに1曲1曲アレンジしていくから。とくに今回なんかはツアーのメンバーと密にやりとりする曲も多いと思う。
──11月7日の金沢を皮切りに、全国8ヶ所を回るツアーが開催されますが、春のツアーから一緒に演奏してきて、今回の冬ツアーもともに回るメンバーについて解説してもらえますか?まずはキーボードのYOSSYさんから。
YOSSYは、ものすごく心強い存在だね。彼女はYOSSY LITTLE NOISE WEAVERというソロ・ユニットでも活動しているけど、ソロ・ミュージシャンって1人でフロントに立つってやっぱり勇気いるんだよね。YOSSYはハナレグミのサポートでも同じ熱量で関わってくれる。だからフロントに近いし、やっぱり熱いね。その熱さが俺はすごく好き。静かなるラテン、って感じかな(笑)。自分の中のソウルフルな部分と、YOSSYの熱さは共鳴するところがあって。それに彼女のコーラスもすごく好きで。女性の声が入ることで、やっぱり景色がすごくカラフルになるから。やっぱりバンドに女性が一人いることによって、気の通りがよくなるものなんだよね、不思議と。
──続いてベースの伊賀航さんは?
伊賀さんはバンドのお父さんだね。いや、おじいちゃんかな(笑)、すごくバランサー的なところはあるよね。プレイヤーとしての素晴らしさはもう言わずもがな。世間的には伊賀さんって細野晴臣さんとか星野源くんのサポートで聴ける、フォーキーでオーガニックな雰囲気のベースが印象的かもしれないけど、意外とファンキーなんですよ。前作に入ってた「無印良人」なんかも、クレイジーなフレーズを生み出すんですよ。実はまだ誰も使いこなせてない伊賀さんのファンキーさを、意外とハナレグミで出してもらってると思う。サイケデリックというか、仮面ライダーでいうとアマゾンみたいな(笑)。今回のバンドも、別にユルさを求めてるわけじゃないから、新たなものをぶち込んでほしいって思ってるからね。
──そういう意味では、ドラムの菅沼雄太さんも新しい感覚をぶち込んでくれる存在なんでしょうね。
完璧にそうだね。菅ちゃんは音量のバランス感覚がすごい。意外と音がちっちゃいかなって思う時も、あとあと記録した音源を聴くと菅ちゃんの言ってることが正解だったりすることが多くて。曲によっては楽器を鳴らす、声を鳴らす、それぐらいの音圧のほうがバンド全体として音が膨らんで聴こえる。菅ちゃんの意見を聞いてると、それが理解できるんだよね。ハナレグミのある部分ではイエーッって引っ張っていく部分でもあるけど、曲によっては静かに風景みたいになる場面もある。あの風景になった時の菅ちゃんの物語の作り方とかすごいからね。あれは彼にしかできない。楽器1個1個、ドラムの音色が色味になっていく。そういうドラマーがやっぱり好きだからね。やっぱりヴォーカルとドラマーって一番関係性が近いと思うから、彼の意見からなるほどなって思う部分が多いね。
ツアーはもうちょっと歌に集中する部分も増えると思う。この先のハナレグミの活動全体の新たなきざしになるのが、今度のツアーになると思います。
──冬ツアーのファイナルは、12月6日に東京国際フォーラム ホールAで行われるそうですが、どんなライヴになりそうですか?
やっぱりホールでのライヴは座って聴いてもらえるから。ライヴハウスみたいにずっと立ちっぱなしだと、身体の動くような曲を大事にしてストーリーを作っていく必要があると思うけど、ホールだとゆったり聴く曲を増やすこともできるし。今回は日本のデイヴィッド・T・ウォーカーことTICAの石井マサユキさんが参加してくれるんで、自分ももうちょっと歌に集中する部分も増えると思う。まあ、どういう曲をやっていくかはこれから決めていくんだけどね。
──ライヴハウスツアーは、ライヴハウスならではの熱量もあるし、永積さんがどんどん自分を解放していくのが手に取るようにわかったし、それを受けてお客さんもどんどん解放していく心地よさみたいなのがあったライヴでしたが、ホールではまた新たな展開が期待できそうですね。
そういうことを少しずつトライしてみたいなって思ってるんだよね。ライヴだけじゃなく、この先のハナレグミの活動全体としても。そのきざしになるのが、今度のツアーになると思います。
──その前にアルバムが無事完成することを祈ってます(笑)。
それなんだよなぁ~。(天を仰いで)神よ~!(笑)。
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