──自分たちの成長を改めて感じる部分も多かったでしょう?
まず、話す内容がアマチュアの頃と全然違いますよね。ひとつのフレーズに全員が向き合う時の集中力も全然違って、「これでいいんじゃない?」みたいに適当に流すところがひとつも無かったし、しっかり考えてやったことが全部良い方にハマっていって。
今回はフレーズから各小節、構成に至るまで全部4人で話し合ったので、全部のフレーズに理由があるし、言い訳出来るんです。
逆にその反動で勢いだけで出来た「1:48」みたいな曲もあるしね。あの曲は何も考えずに鳴らすことに意味があって、こういう曲がこのアルバムの中に入れられたことも意味があると思うし。
──でも、「1:48」で歌ってる“今”というのは、ひとつ今作の鍵になっていて。ライブをテーマとした1曲目「Louder」でも歌っている、今、この瞬間の重要さと、ここからまだまだ上がってく希望のどちらもがしっかり描けてると思いました。
変に未来に期待することも無くなったし、気付けば普遍的なことを歌ってるなというのはありました。想いをこめて作ろうと思ったものと、気付けば想いがこもっていたものというのは全然違うと思うんですけど、今作は確実に後者だと思っていて。リスナーを意識しすぎず、あくまで自分のことを歌ってるし。構えることなく、想いが滲み出てるところに人間性が出てると思います。
──うん、人間味に溢れてるし、すごい近しさも感じます。
ライブでも歌詞だけでなく演奏やMCにもそれが自然と出れば良いなと思ってて。それをお客さんが色んな受け止め方をしてるのが表情として見れて、最終的にみんなが「楽しかったね」と思えたら、その日は大成功だと思うんです。その瞬間、本当に楽しめたか? 満足出来たか? が一番重要で、それを積み重ねていくことがすごく難しいし、常にそれが出来たら良いなと今は思っています。
──とはいえ楽しいばかりじゃなくて、「fall down」などでは自分の弱い部分も含めた本音を書けてるのも良いですよね。
音や歌詞でいかに人間性を表現するか? と思った時、下手な細工をしても分かっちゃうんですよね。こんなに音楽が溢れた環境下で、着飾ってスポットライトを浴びてもバレるし、それが続けばストレスになってしまうことを自分でも知っていて。だったら、ポジティブなこともネガティブなこともさらしてしまえば、過去の楽曲が自分を振り返るためのツールにもなると思ったんです。個人的なことになっちゃうんですけど、例えば数年経って、同じことで悩んだり、同じ状況になった時にどう対処していけば良いかも分かるし、自分が何を考えて、どう年を重ねてきたかも分かる。そんなことを残せる職業ってなかなかないと思うし、次も作品が出せる保証なんて何もないんで、言いたいことは全部言おうと思ったんです。聴き手のことを考えすぎて、歌詞が書けなくなった時期や分からなくなった時期もあったんですけど、今はその頃の作品を聴いて分かったこともあって。自分自身としっかり向き合って、物怖じせずに書きたいことを書いていこうとより思えているんです。
──それも過去の自分自身が教えてくれたことがあったんですね。
そうですね。それに光ばかりじゃなくて、陰も歌わないとリアルじゃないですからね。ライブとかもみんな平日は大変な思いして仕事して、一週間のうちの一日だけはご褒美でライブに来て、思い切りハジケるわけじゃないですか? だったら苦しいことにも目を背けず、そこも含めて表現しないと届かないと思うんです。シンドイことをテーマに歌詞を書くとなかなかペンが進まなかったりするんですけど、ちゃんと乗り越えて表現出来た時には自分自身もグッとくるし、救われたような気がして。聴いた人もなにか感じてくれると良いなと思って、歌詞を書いています。
──素晴らしいです! そして7月のアルバムリリースを待たずに、5月6日名古屋クアトロから、12月まで続くツアーがスタートしていますが。すでに新曲たちはライブで披露してるんですか?
もう、ちょこちょこ披露してるんですけど、ライブでやるのはめちゃくちゃ楽しいです!
お客さんのリアクションを見つつ、新曲も増やしていきたいなと思ってるんですけど。最近ライブがすごい楽しくて、今までの曲たちが育ってきているのもバシバシ肌で感じていて。新曲の反応も楽しみなんですけど、これから育てていく新曲と身体に馴染んだ曲の共存を上手にやっていきたいなと思っていて。僕らが客をボッコボコにするか? 客が僕らをボッコボコにするか? ライブの中でギリギリのラインでお客さんと対話するのが一番楽しいので、上手くバランスを取ってやっていきたいと思ってます。
──今作にもライブを想像出来る曲が多いですが、4人の中でライブがライフ(生活)になっていて。それが自然と楽曲にも消化出来ている気がしました。
忙しい時期は毎週末ライブしてる感じで、やっぱりライブが生活の中心になってるところはあるんですけど、それが良い意味で慣れになっていなくて。ライブも日常も「その日一日をどれだけ集中してやり切れたか?」に重きを置いていて、日常の中でも時間をみつけて音楽をしようとしているし、ライブの日はライブに集中出来ているし。今までは別で考えていた日常とライブが、良い意味で一緒に考えられるようにはなってますね。
僕はこう見えて緊張しぃなので、今でもライブの時はビクビクしていて。最近、ライブ中にお酒を飲むようになったんです(笑)。あとは禁煙をしたり、何かを変えたいと強く思うようになっていて。常に満足せず、変化し続けていたいっていうのはありますね。
僕はライブで気負いしないようにしっかり練習して、どんな精神状態でも良いプレイが出来る環境を作るようにしています。それをすることで周りを見る余裕も出来たし、より楽しめてるし。
僕も今まで以上にライブが楽しみで、一番大切な日になっているんです。プライベートの予定よりもライブが一番楽しみだし、一番特別な日になっているし、すごくワクワクするし。いまは新曲を演奏するのもすごく楽しいし、自分の課題を打破していくのも楽しいし。またフレッシュな気分で、すごく音楽を楽しめています。
──手応え十分のアルバムも完成して、ツアーも楽しみですね。
昔からやってきたテンション感でアルバムを作って、良いアルバムが出来たって感覚がすごくあるので。ライブでもそのテンション感が出せれば良いなと思いますね。
フルボッコにするんで、ぜひライブに遊びに来て下さい(笑)。
■ニューアルバム『HELIX』収録曲「Dog」リリックビデオ
1 2