──そんな新しい鈴木このみを詰め込んだのが3rdアルバム『lead』。
鈴木 そうです。『lead』というタイトルが象徴してるんですけど。このタイトルを決めたきっかけも去年20歳の誕生日にやったバースデーライブで。そのときに、みんなに「ついてきてね」っていったことがきっかけでこのタイトルにしたんです。それまではファンの方とはお互い支え合ってやってきた感じだったんですけど、そのバースデーライブで、これからは自分が歌で先陣をきってみなさんを導いていきたいなという気持ちに変わったんです。なので、今回のアルバムはみんなを歌で導くという意思を込めたアルバムになっています。
──アルバムの曲順にはなにか意味があるんですか?
鈴木 個人的には自分の人生を追ってもらえるような曲順になってるのかなと思ってます。まず最初に「Love is MY RAIL」で始まるところがポイントなんです。この曲は去年出したシングルのなかでも印象に残ってる曲で。自分らしさってなんだろうとか、このまま夢だけを追いかけていていいのかなとすごく悩んでたときにこの曲に出会って。自分が愛を感じる方に進んでいけばいいんだなと思ったんですね。だから、この曲は自分自身が“再スタート”できた曲でもあるので1曲目にあるのかなと。
──この曲、めちゃくちゃ早口で歌わないと曲に置いてけぼりにされちゃうパターンの曲ですよね?
鈴木 かなり早口なのでレコーディングのときはドキドキしました。早口のところは水面を猛スピードで飛んでるようなイメージで歌ったのを憶えてます(微笑)。
──そこで新しくスタートをきった鈴木さんが“ウォーオーオ!”と高らかに声をあげて「「わたし」をくれたみんなへ」が始まる。
鈴木 この歌詞は本当に私にぴったりで、みなさんにお手紙を届けるような気持ちで歌いました。
──アルバムの中盤にある壮大なバラード「MY SHINING RAY」はどんなプロセスで生まれた曲だったんですか?
鈴木 “プラネタリウムで歌ってみたい”という夢が自分にはあって。そこで歌う用に作っていただいた楽曲なんです。ライブでは以前から歌ってたので、今回初音源化ということになります。みんなを導く大きな星になりたいという楽曲なので、バースデーライブではみんなが見上げる場所で歌いたいと自分から提案して、リフターを使って3階席と同じぐらいの場所まで上って歌いました。翼を広げて歌ってるような気持ちになりましたね。
──これを聴いて、鈴木さんの歌はこういうミュージカルを歌うようなクラシカルな歌唱法が基盤にあるのかなと思ったんですけど。
鈴木 まさにそうです。歌を習い始めたのは小1だったんですけど。声楽家の先生に習っていたので、最初の数年は楽曲を練習するのではなく発声とか、音階トレーニングみたいな基礎ばかりをずっとやってたんですね。それから、ミュージカルもやるようになってこういう歌い方が出来上がっていったのかなと思います。だから、中2のときにアニソンが好きになって。実際に歌ってみたら、アニソンは激しくてテンポの速い曲が多いから全然舌が回らないし、体力も足りない(笑)。そのときの自分にとっては新しい世界の歌のように思えたんですよね。
──なるほど。アルバム後半に並ぶアニソンの主題歌は、本当にメロディーを憶えるのだけでも大変な曲がズラリと並んでいて。そのなかでも「Redo」なんかは特に難解ですよね。
鈴木 難しいですね。でも、これも歌っていくと不思議と馴染んできちゃうんですよね。
──分かります、その感じ。難解だからこそそれを達成したときに得られるカタルシスが半端ない。
鈴木 確かに確かに!これは普段の自分と全然違うから歌ってても楽しいんですよ。この曲は私のイメージだと、歌詞には苦しみや悲しみが描かれてるんですけど。アニメやその原作を見ていると、人を守りたいという純粋な気持ちが一番大事なんだなと思ったんで。ライブを重ねるごとに、そういう歌に変わってきてますね。あくまでもアニメの曲なので、アニメの世界観は忘れちゃいけないんですけど。いつも自分はアニメの世界観50%、プラスそこに自分の気持ちを50%入れるようにしていて。アニメの世界観だけで歌っちゃうと、アニメって現実には不可能なことが描かれてるので、それだけだと説得力がない気がして。私が歌う意味ということで、そこにプラス自分が共感した気持ちを50%入れることで、歌の説得力が増すのかなと思っているので。そこはすごく大事にしてますね。
──そういう工程を経て、自分らしさを持った歌が生まれる、と。アルバムでは作曲にトライした「Moment」という曲で自分らしさを表現したものもありましたが。
鈴木 去年立てた目標の一つに作曲に挑戦したいというのがあったので作りました。私は色だと赤色が好きなので、歌詞にも赤色が入っていたり。元気が欲しいなと思ったとき、私はいつもスタッフさんに背中を叩いてもらってステージに上がるので、それも歌詞に組み入れてもらったり。自分が作った曲なので、歌詞でもより自分らしさが出せるように細かいところまで作家の方にオーダーをしました。
ニューシングル「Blow out」について語る!