やっぱり、ナオト・インティライミのライブは、すごく参考になりましたね
──人のサポートもやるようになってから、ご自身の作品やライブが変わったというところはありますか?
ああ、すっごい変わったかもしれないですね。自分のアーティスト活動だけしていた時って、わりと自分の中の世界観でつっ走ってたんですけど……それも大事なことだと思うんですけど、その後、人に楽曲提供したりすると……特に、人のバックでやったりするようになったのが大きくて、やっぱりその人の音楽を聴いて、練習して、演奏するわけだし。ライブ中のMCとかも、自分のライブの時って、そんなしゃべる感じではなかったんですけど、いろんなアーティストの方のライブでバックでやらせていただくようになってから、やっぱり歌以外のところ、演出だったりとか、MCだったりとか、っていうのは、自分の中ではすごく変化があったというか。
ただまじめに伝えていくんではなくて、何かちょっと小ネタを入れたりとか。1曲まるごとやるんじゃなくて、メドレーにしてみたりとか。っていうのは、自分ひとりでやってたら、ひらめかない部分だったのかなって思いますね。
──以前はけっこうストイックなライブを?
たぶんそうだったと思います。とにかく曲を聴いてほしいっていうのが前に出たライブをやってたんですけど、いろんなアーティストのバックをやらせてもらうことによって、自分の中の、音楽以外の部分での引き出しは増えたのかなと思いますね。
──特に一緒にやってみて刺激を受けたアーティストは誰でしょう?
ああ、やっぱり、ナオト・インティライミは……音楽もさることながら……リハーサルも、演出とか小ネタとかを、すごく念入りにやるんですね。僕、初めて参加した時は、「こんな小ネタ、何回も練習する必要あんのかな?」っていう気持ちではあったんですけど(笑)。でもいざ本番でそれをやると、「ああそうか、やっぱり相当な反復練習が必要なんだなあ」と思って。すごく参考になりましたね。
──曲や歌詞にも影響ってありました?
歌詞はあんまり変わんないんですけど、曲は……メロディよりか、アレンジの部分だと思うんですけど、すごく変わったと思いますね。一個一個の音色とかもそうだし……自分で曲を作って打ち込みしてるんですけど、結局自分の中で解決する音色って、実はいつも一緒の音を使っていたりして。
で、たとえばアレンジのお願いをされた時に、「こういうサウンドで」っていうお手本の曲が出てきたりするんですけど。自分のアーティスト活動しかやってなかったら聴かなかっただろうな、って曲もあって。そういう音楽を聴いていく中で、「あ、このスネアの音をこの曲に使ったらおもしろいかもな」とか。
5~6年前くらいかな、ダブステップとかEDMとかが流行りだした時、自分はああいうのはやらないだろうなと思ってたけど、自分の曲にもそういう音を使ってみて、「自分の曲でも意外とハマるんだな」って思ったりとか。アレンジっていう部分ではすごく変化があったかもしれないですね。広がったと思います。
弾いていたい、弾きながら歌いたい、っていうのが大きいんですよね
──元アーティストでサポート・ミュージシャンになったり、アレンジャーになったり、プロデューサーになったりする前例はいくつもありますけれども、ミトさんはそういう仕事もしながらも、あくまで軸はご自身のアーティスト活動ですよね。
そうですね、それだけだとたぶん、自分の中で飽きがきちゃうというか、それじゃあつまんないというところに行き着いちゃう気がするというか。実際、去年ちょっとそうだったんですけど。去年はサポートとか楽曲提供とかが比重的に多くなって、あんまり自分のライブができなかったんです。いざ1年をふり返ると、サポートで得たものはたくさんあるんですけど、自分の音楽人生で考えたら、ちょっと物足りない1年だったな、っていう感じなんですよね。
やっぱり、自分のライブがやりたいというのは、今音楽をやっていることのいちばんの意味なのかなって思うので。だから今年はガシガシとライブをやっていこうと思います。
バックでやっていても、もちろん毎回楽しさはあるんですけど、最終的に「これ、俺だったらこう歌うのにな」っていうところに行き着いちゃうんですよ。それはたぶん、自分のやりたいことがまだ山ほどあるというか、自分の中から表現したいっていうのがあるからこそ……やっぱり、曲を作りたいとか歌詞を書きたいっていう以上に、歌いたいっていうのが大きいですね。
曲を作りたい、歌詞を書きたいという方が強かったら、もしかしたら曲提供の方に重心が行っちゃうかもしれないですが、「弾いていたい」「弾きながら歌いたい」っていうのが大きいんですよね。そうなっていくと、やっぱりアーティストとしてやっていきたいっていうのが大きくなるのかもしれないですね。