──歌詞として描かれている【身も蓋もない暴力】とは?
小林くんの仮歌に影響を受けた部分もあったんですが、小林くんの仮歌詞は、雑誌名をそのまま歌詞にして歌っていたり、そこにある目に入るものの名前をそのまま歌っていたりするので、タイトルはちょっとユニークなものにしたいなと思って、“バナナ・スキンヘッド”にしたんです。
──“バナナ・スキンヘッド”って何?
僕の中でバナナって、漠然とパンクなイメージなんですよ(笑)。
──それは間違いなく、アンディ・ウォーホルが描いた、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムジャケットの影響だね(笑)。
ですかね(笑)。スキンヘッドというのは、異民族に集団で暴力行為を行う若者のことを指しているんです。
──表題曲の「アルトラブラック」は、シャッフル感が【娯楽的な暴力】を際立たせるよね。楽曲的には、これもかなりトリッキーな印象だった。ドラムと竿隊の絡み具合とか、ユニゾン感とか。2Aあたりのアナログ感とか。
そうですね。この曲は、最初にミュージックビデオにしたい映像が頭の中にはっきりとあったんです。それもあって、映像に当て嵌まるように曲を書いていったって感じだったんです。ミュージックビデオの方は、イントロが音源よりも長くなっているんですよ。
──じゃぁここでまたゲストの進藤くんに(笑)。Aメロのランニングベースがすごく印象的だったなと。
ありがとうございます。プレイヤーからすると、全体を通してすごくトリッキーな展開の中で、ハッキリとした音で前のめりに弾いたんですが、おっしゃって下さったランニングベースのところは、後ろに持ってくるようなリズムだったりするので、意識が変わる部分だったりするんです。久我くんが言っていたとおり、この曲は最初に久我くんの中にはっきりと映像があったところから曲を作っていったので、Aメロも“こんな感じの映像になるから”っていうのを伝えられていたんです。なので、すごくプレイしていてもイメージに沿わせやすかったです。
──メロと歌詞とのハマりがすごくリズム感があっていいなと思った1曲でした。そんな歌詞についても聞いていい? 【娯楽的な暴力】とは?
すごく分かりやすい例えで言うと、北野武監督の映画の描写って、結構暴力的だったりするし『ドラゴンボール』も暴力的と言ってしまえばそうじゃないですか。戦うものはすべてそうだったりしますよね。『ドラゴンボール』では、悟空が毎回何かしら甚振られてますからね(笑)。でも、みんなそれを自然に見てるじゃないですか。それを見て暴力的な人間になるのかと言ったらそうではないし。そう考えると、暴力って日常的に溢れてるなって思うんですよね。パニック映画とかになると、人が死に過ぎて、人の死というものに何も感情が動かなくなるじゃないですか。ヒューマンドラマでじっくりとその人の人格を見させられてからだと、1人の死に対しても大きく感情が動くし。そういう意味でも、ハリウッドとかのピストルを打ちまくるような映画は、娯楽的な暴力だなと思ったんですよね。「アルトラブラック」で描いているのは、そういう意味の暴力なんです。
──なるほど。3曲目の「時に夢想者は」ドラマチックな1曲だよね。歌い出しの吐息混じりなニュアンスは、ギターでいうところのフィンガーノイズ的な効果で惹き込んでいる気がしたし。
ありがとうございます。新井くんと、いいなって思うフレーズにメロディを付けながら一緒に作っていった1曲でもあったんですけど、すごくいい曲ですよね。
──そうだね。昼ドラ感満載。
あははは。たしかに(笑)。昼ドラ感満載ですね(笑)。
──ベースがストーリーを作っている1曲でもあるのかなって思ったし。
そうですね、ベースにはいろいろと頑張ってもらいました。ドラムとギターは意外と機械的なので、ベースはその分感情的に弾いてもらったんです。歌と一緒に歌ってほしいって、進藤くんに伝えて弾いてもらったんです。大変だったよね。1番時間かかったもんね。
そうですね、すごく時間かかりましたね。この曲は、自分の中で、世界観がなかなか明確に見えなくて、すごく時間をかけて煮詰めていったんです。ギターも特徴的だし、歌もすごく感情的だから、そんな中でベースがどの位置で弾いたらいいのかということを悩みました。メンバーからいろいろな意見をもらって、それを全部自分の中で消化して弾いたベースになりましたね。自分的にこの曲のベースは、今後の武器に出来る1曲になったと思っています。
すごくいいベースだと思います。