2回目の武道館はね、アートワークがすごく凝ってた。3回目のアンコールで「フリージア」をやって、最後にパーッと開けた印象を残せたのが、すごく綺麗な景色だったなって思う。(YUKKE)
──2回目の武道館公演は、2009年の3月15日『球体』だね。このときのことは覚えてる?
逹瑯 このときの武道館はね、最初の武道館のときよりちょっとだけ楽しめた気がする。
──最初よりも緊張が少しほぐれてたのかもね。1曲目は何だったか覚えてる?
逹瑯 うん。「咆哮」だね。「咆哮」「梟の揺り篭」「アゲハ」「レミング」の流れかぁ。
ミヤ 『球体』のイメージで組んだセットリストだったからね。アルバム『球体』を引っさげてまわったツアーの1本目が武道館だったんだよ。
逹瑯 そうだったね。あ、すげぇ思い出した。「hanabi」のサビで結構な勢いでファルセットを使って歌うから、「hanabi」までなんとか喉の調子をいい状態で保っていなくちゃって、頭の中でずっと考えながら歌ってたのね。結果、「hanabi」はちゃんと思っていたようにファルセットも出て、いい状態で歌えたんだけど、ライヴが終ってから、善徳くん(杉本善徳)に、“「hanabi」までちょっと自分の中で温存して歌ってた気がしたなぁ”って言われて、うわぁ、当たってるわぁ〜って、ちょっと悔しかったんだよね(笑)。
──「hanabi」はこのとき、12曲目にやってるから、本編のかなり後半の方だもんね。
ミヤ この頃は、逹瑯が新しい歌い方にまだ追いつけてなかった印象だな。
──『志恩』『球体』あたりは、すごく新しい歌い方が入った時期だったからね。「hanabi」もそうだけど、ファルセットが入った歌い方がすごく多く用いられていた時期でもあって、歌唱的には難解なチャレンジがあっただろうし。YUKKEはどう?
YUKKE このときの武道館はね、初めてステージセットを作り込んだライヴをしたっていう印象で記憶に残ってる。アートワークがすごく凝ってたよね。
逹瑯 そうだね。床も結構デザインされてたからね。
YUKKE それまで、そういうライヴをやってきたことがなかったから、すごくカッコイイなって新鮮だったし、今見ても、やっぱり斬新でカッコイイなって思えるからね。あとね、すごく印象的だったのは、3回目のアンコールで「フリージア」をやったときのこと。最後にパーッと開けた印象を残せたのが、すごく綺麗な景色だったなって思う。
──新曲として最後に「フリージア」をやったんだよね。本当に「フリージア」は、まさに、これぞ秀曲的な1曲だしね。SATOちが印象深かったのは?
SATOち 『球体』の武道館はね、やっぱ俺もセットが印象深いな。ステージの後ろに、すごい大きなオブジェがあって、なんかすげぇなって思った。逹瑯の衣装が特攻服みたいでカッコ良かった。
逹瑯 あぁ、白いやつね。
──マインド的なものはどうだった?
SATOち 最初の武道館のときよりは緊張が少なかった気がするけどね。でも、慣れた感覚で出来てたか?って言ったら、そうでもなかったからね。
2011年の武道館2daysは、1日目は “今のMUCC”、2日目は“今までのMUCC”っていう、全く違うライヴで、自分の中のスイッチが全然違った。(SATOち)
──なるほどね。じゃあ3回目4回目の武道館。ここでは、2daysだね。2011年5月21日に行われた『TOUR“Chemical Parade”FINAL』と、翌日の5月22日に行われた『MUCC history GIGS 97~11』。
逹瑯 俺的にはね、こんときの2日目が1番、武道館でのライヴを楽しめたかも。
──『MUCC history GIGS 97~11』は、完全にヒストリーライヴとして行われたライヴだったんだよね。
逹瑯 そう。1日目の『TOUR“Chemical Parade”FINAL』はね、まさしくツアーファイナルな印象で挑めたライヴでもあった気がする。
──そっかそっか。そういえば、『MUCC Tour 2010 “Chemical Parade”』の初日は日比谷野外大音楽堂だったんだよね。台風が上陸して、嵐の中でのライヴになったんだよ。
逹瑯 そうだったっけね!たしかに、野音すごいことになってたなぁ、そういえば(笑)。
──YUKKEはどう?
YUKKE まったく違うセットリストでやってみて思ったんだけど、最初にこの公演を発表したときも、2日目のヒストリーライヴの方が人気だったし、やっぱり、普段のライヴでなかなか聴けなくなっちゃった曲を聴きたいっていうお客さんが多いんだなって思ったというかね。今の曲を好きで居てくれるのももちろん嬉しいけど、ちゃんと昔の曲も愛し続けてくれてるって、すごく嬉しいなって思った。
逹瑯 (『MUCC history GIGS 97~11』のセットリストを見返して)てか、すげぇな、この日。本編22曲もやってんだ!
──SATOちはどう?この2日間の武道館ライヴ、覚えてる?
SATOち すごく覚えてるよ。1日目と2日目で、自分の中のスイッチが全然違った。1日目はね、“今のMUCCを魅せていく”っていうライヴだったし、2日目は“いままでのMUCCを魅せていく”っていう、まったく違ったライヴだったから、なんか自分の中で全然気持ちとか向き合い方が違ってたんだよね。TOTALFATのメンバーが観に来てくれたんだよ。
YUKKE よくゲストまで覚えてるね!?びっくり!すごい!
SATOち うん(笑)。なんかすげぇ覚えてるよ(笑)。1日目にね、「名も無き夢」をやったんだけど、それに対して、“武道館であのBPMでやってくれて、「あぁ、武道館でもあのBPMの曲をやっても成立するんだ!」って、メンバーと話してたんですよ!すごく参考になりました!”って言われたの(笑)。それがすごく印象的だったんだよね。
──なるほど、TOTALFATの曲は速い曲が多いからね(笑)。ところで、『MUCC Tour 2010 “Chemical Parade”』はアルバム『カルマ』を引っさげてのツアーだった訳だけど、今、振り返ってみて、『カルマ』というアルバムは、MUCCのヒストリーの中で、どういう位置にあった1枚だったと思う?
ミヤ 今でこそ人気が出てきたアルバムなんだけど、当時『カルマ』は、アルバムとしてはあんまり人気なかったんだよね。
──そうなの!?逆に当時から人気があったアルバムってどのあたりなの?
ミヤ 人気があったのは、『極彩』とか『志恩』だったね。
──『極彩』とか『志恩』は、ザッツ・ムックな印象のアルバムだもんね。その点、『カルマ』はいろんな挑戦があった1枚でもあったから、最初は抵抗があったってことなのかな?
逹瑯 うん、そうなんじゃないかな?『カルマ』は打込みとかのサウンドが、ガンッと表面に出たからじゃないかなって思うけどね。最近になって、そこもみんなの中で馴染んだから、今は当時よりも受け入れやすくなってるんじゃないかなって思う。
──なるほどね。このときは、どうしていきなり2daysにしようと思ったの?
ミヤ もともと、別のコンセプトでライヴしようっていうので、2days目的で組み立てたライヴだったからね。
逹瑯 いままでがずっと1日だったから、2日間完全にメニューを変えてやってみるのも面白いんじゃない?って感じのノリだった気がするけどね。
2日間でMUCCの歴史を振り返る2017年の武道館ライヴ