インタビュー/森 朋之
シェリル・バーク、髙橋大輔のW主演による舞台「木下グループ presents LOVE ON THE FLOOR 2017」が東京・東急シアターオーブ(6/16~25)で開催される。シェリルが構成・演出を手がける本作は、「ときめき」「情熱」「とまどい」「嫉妬」「無償の愛」といった愛という感情が持つ様々な面をアメリカのトップダンサーたちが表現するダンスショー。昨年に続き2度目の出演となる髙橋がさらに磨きをかけたパフォーマンスを見せてくれるはずだ。
──昨年上演された「 LOVE ON THE FLOOR」は大きな反響を呼びました。髙橋さんご自身の手応えはいかがでした?
“手応えを感じる前に舞台が終わってしまった”というくらい、昨年はいっぱいいっぱいで。もちろん楽しくて充実していましたし、自分でも“試合のときの表情に戻った”と思うくらいやりがいを感じていましたね。僕やメリル、チャーリーなどフィギュアスケートがきっかけで会場に来られた方もいらっしゃったと思うんですけど、ハイレベルなダンサー達を見て『このダンサー達のダンスをもう1回見たい』という声を聞くことができたのも嬉しかったですね。
──稽古、本番と重ねるなかで、髙橋さんの表現にも変化があったのでは?
稽古中はシェリルから「もっと大きく動いて」ということをすごく言われました。「キレイじゃなくてもいいから、自分のなかでいちばん大きい動きをしてくれ」と。最初は無我夢中で、大きく動くことだけを考えてましたが、会場に移動して実際に舞台に立ってみると、大きく動くことだけではない何かが感覚として芽生えた気がします。それが何かは自分でもわかりませんが(笑)
──「愛という感情を持つ様々な面を表現する」というテーマについては、どんなふうに捉えてますか?
ダンスで愛をそこまでちゃんと表現できるものか不安だったので、最初は漠然としてたんです。けれど、テーマを掘り下げていくうちに「ダンスでこんなにも表現できるんだ」と思って驚きました。お客様からも「(ダンスの内容が)しっかりテーマに沿っていた」という声が聞けたので、とても嬉しかったです。それに、他のダンサーの表現の方法を見て「身体だけでこれだけのことが出来るんだ。すごいな」と思うことも多かったです。
──愛についてのストーリーを語る、髙橋さんのナレーションも印象的でした。
恥ずかしくてイヤだったんですよ、じつは(笑)。自分がソロで踊る前に流れるので、集中できなくて(笑)。公演の後半ではだいぶ慣れてきて、自分の声を耳に入れないようにしてましたけど。
──シェリルさんに対してはどんな印象を持ってますか?
面倒見がいい女性ですね。よく気が付くし、僕が悩んでるときも励ましたり、盛り上げたりしてくれました。舞台に立つとガラッと変わって、すごく集中してパフォーマンスしていますし、頼れる女性だと思います。演出家としては、まわりの人たちの意見を聞いて変更することもありましたし、チャレンジャーだなと。こだわりを持ちつつもフレキシブルにやっているという印象です。
──シェリルさんとの会話のなかで、印象に残っている言葉は?
毎回けっこう褒めてくれました!!でも1番は「プロフェッショナルなダンサーじゃないのはわかってるけど、表現という意味で素晴らしいものを持っている」と言ってもらえたことですね。世界中のトップダンサーと会っている人から「表現者として素晴らしい」と言ってもらえたのはすごく嬉しかったです。スケートでは言って頂くことがありましたけど、まったく違う世界の人ですからね。これは自信にしなくてはいけないなと思いました。
──フィギュアスケートと舞台のいちばん大きな違いはどこにあると思いますか?
まず、他のダンサーと組むという経験がなかったんですよね。氷の上ならまだしも、舞台の上でまわりのダンサーと呼吸を合わせて踊るっていうのは初めてでした。相手の状態も僕の状態も毎日違うので、お互いにそれに対応しながら呼吸を合わせていた感じです。スケートは基本的にひとりで自由にやっていますけど、舞台の場合は流れや絡みもありますからね。それはすごく新鮮だったし、難しさもありました。体の使い方でいえば、スケートの場合は(スケート靴の)エッジを倒すことで大きく見せることが出来ますが、舞台ではそれが出来ないっていう違いはありますね。あと、裸足の時には、つま先のことまで考えなくてはいけない。いままで「キレイに歩くって何だろう?」って考えたこともなかったですし、そう考えたら舞台の上で歩くのがいちばん難しかったかもしれません。
今年の「LOVE ON THE FLOOR」について