沙我:ファンが求めてるもの、自分たちがやりたいこと、そういう意見すべてをひれ伏せるような曲を作りゃいいんだ、と。それで、出来たのが「MEMENTO」なんですよ。
──まあ、そうですよね(微笑)。それではここでまた王子の話に戻るんですけど。A9としては、“WIHTE”のキラキラ王子の世界観だけを追求していくのではダメなんですかね。
飽き性だからね。俺ら(微笑)。
メンバーと長くいますけど、ウチは誰も王子じゃないし(笑)。
僕なんか単なる“キモオタ”ですから(笑)。
しかも、根本的にキラキラもしてない。激しい音楽もやりたい。ただ、自分たちが一番似合う服は知ってるんですよ。知ってるんだけど、1週間のコーディネートと同じで、同じ服ばかり着てたら飽きちゃうんですよ。
僕思うんですけど、少女漫画ってパッと見かっこよくて、パッと見御曹司でも、実は性格が最悪だったり洋服がダサかったりというキャラが多い気がするんですね。結構それに近い気がするんです。僕ら(微笑)。パッと見カッコ良さそうでも、僕はMCで噛みまくるし変なことやるし。それが、僕は逆にいまの時代に合ってると思うんですよね。究極の王子キャラとして君臨するためには、もっと情報が制限された世の中じゃないと浮世離れできない。なので、僕らはそこは“現代版のパッと見王子”なバンドになっていくべきなのかなって<PARTY ZOO>や<VISUAL JAPAN SUMMIT>に出てみて思いました。
Gt.ヒロト
──そこで先輩方に散々王子を追求しろと言われて?
そう。「お前ら自分らの得意な部分やってないだろう」ってことごとく言われて。でも、ファンが求めてるものはまたそれとは違うし。自分たちがやりたいことも、それだけじゃないし。じゃあ、そういう意見すべてをひれ伏せるような曲を作りゃいいんだ、と。全部を一つにまとめられる曲を提示するしかないなと思ったんですよね。それをやって「なるほどね」と思わせるしかないというところに行き着いて。それで、出来たのが「MEMENTO」なんですよ。だから、個人的には全部入ってるんです。キラキラもヘヴィーも全部ここには入ってる。こういう曲をリード曲にすることって、いままでなかったんですよ。「九龍-NINE HEADS RODEO SHOW-」はありましたけど、あれは気がついたらシングルになってたという感じだったんで(笑)。
──A9は王子系のキラキラした曲もあるけど、ロックなものもヘヴィーなものあるんだと。それらを全部モリモリにのせて作ったのが。
「MEMENTO」です。これが「俺らこうだから」という俺らなりの“答え”です。
沙我君がそこまでの決意を持って作ってきた曲だったんで。僕は、LUNA SEAの「ROSIER」の間奏の英詞はJさんが自分に向けた遺書だというエピソードが好きだったので、歌詞もそういうニュアンスの熱がこもったものになりました。「MEMENTO」というのは形見という意味にもなるので、この曲でそういうA9としての傷跡を残すぞという。A9の強いメッセージと思いがこもってます。個人的なところでは、これは精神状態が崖っぷちのときに書いていたので、このジェットコースターのような曲調がそれに合間って。すべてを投げ出しちゃえば楽なんですけど、それでも地獄からのぼる蜘蛛の糸は絶対に放したくないというような歌詞になりました。でも、それはあくまでも作家の内情なので、聴く人はビジュアル系のパーティーチューンとして楽しく騒いで盛り上がって、サビでハッピーになってくれたらいいなと思います。
Gt.虎
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