インタビュー/三宅正一
──2年ぶりのオリジナルアルバム『STAND!!』、これ、ものすごくフレッシュで自由度の高いアルバムですね。
金澤ダイスケ(Key) そうなんですよ! 僕らもそう思ってます。
──フレッシュなアルバムを作りたいというモードを共有しながらメンバーみんなで曲を持ち寄ったんですか?
金澤 そうですね。前作『LIFE』は、どちらかというとプライベート的というか、少し内向的な内容だったんですけど。それに対する反動もあって、オープンなアルバムを作りたいという思いがバンド内であったんですよね。あとは、5月から6月までやった全国ツアーの手応えがすごくよかったのも大きいです。ツアーの影響もあって、もっとライブをイメージできる曲を作ってもいいんじゃないかという思いが膨らんでいった。曲作りってどうしてもスタジオワークを重視して作るか、ライブを意識して作るかという選択肢になるんですけど、今回は外に向いたフレッシュな曲を数多く作ろうというモードが自然と生まれていたんです。
──3人合わせて何曲くらい持ち寄ったんですか?
金澤 4、50曲くらいあったんじゃないですかね。フジファブリックには山内(総一郎)くんみたいな多作家もいますから。でも、山内くんは1回スランプになったらしいですよ。一度バーっと何曲か作って、そのあと急に出なくなったって言ってましたね。結局、アルバムにはスランプ明けの曲が多く入っていて。2曲目の『SUPER!!』もそうだし。
──「SUPER!!」はイントロから鍵盤のリフとタムの躍動感に惹きつけられる。あらためてフジファブリックのオルタナティブなポップネスをダイナミックに示すような楽曲に仕上がってます。「ここからもっと先に行きたいんだ」というマインドがサウンドにも歌にも浮き彫りになっているなと。
金澤 ありがとうございます。『SUPER!!』はかなりこのアルバムを象徴する曲になりましたね。最近、この曲をライブでやるときになぜか僕がギターを弾いてるんですよ。困りますよね、もともと弾けないのにいきなり『ギターって弾いて』って言われても(笑)
──でも、バンド内の風通しがよくないとそういう提案も出ないですよね。
金澤 そうなんですよね。今、まさにバンド内の風通しがいいから、僕もなんでもありかなと思って(笑)。今までは僕もわりと人が使った曲を尊重しすぎていたところがあったのかなという気がしていて。今回のアルバム制作では『もっとこうしたほうがいいんじゃない?』って遠慮なく提言したりしたんです。山内くんと加藤くんもそういう感じだったし。
──だからこそ、このアルバムでバンドのつかみどころのない魅力が浮き彫りになったんだと思います。
金澤 それがいいのか悪いのかわからないですけど、浮き彫りになってしまいましたね(笑)。
でも、曲を聴いたときの距離感や膜みたいなものはあまりないと思っていて。リスナーと距離が近いアルバムだなって思うんです。自分たちでそう思えるアルバムを作れたことがうれしくて。
今回は数多くのアレンジャーやエンジニアさんに参加してもらっていますけど、自分たちだけで制作していると、知らず知らずのうちに自分たちの常識ができてくるんですよね。それをどんどん崩していかないと楽しくないんですよね。そもそもフジファブリックってデビュー前から『色んな曲を作り続けたいよね』って思い続けてきて、つねに音楽性を更新し続けてきたバンドであって。