インタビュー/フジジュン
──7月にシングル「DAY」、10月に連動するシングル「NIGHT」をリリースしたGOOD4NOTHING。そもそも、対となるシングルを作ろうというアイデアは、どこから生まれたんですか?
U-TAN(Vo./Gt.) 7年前にSUNEが加入して、現在のメンバーでアルバムを5枚出して。トータルでは前作で10枚目のアルバムを出して、ひとつの節目になった時、「次はどんなアルバムを作ろうか?」って考えて、「ちょっと今までにはないアプローチをしたいな」って話になって。僕らのバンドカラーって、カラッとしたイメージやと思うんですけど。アルバムには切ない曲とか入れてて、自分たち自身もそういう曲が好きだったりするんですが。そういう曲が前面に出たり、MVになったりすることがなかったなと思って。“明るい”“暗い”みたいに、最初からコンセプトを立ててやるのも面白いんやないか?ってところで、「DAY」と「NIGHT」のアイデアが出たんです。
──コンセプトありきとは言え、マイナー調の曲をシングルリリースするのは初めてというところで、勇気もいったと思いますが。
U-TAN それはあったんですけど、実際に完成して色んな人に聴いてもらったら、すごく反応良くて。今までこういう曲を全面に出すことがなかったから、みんなが「いいね!」って言ってくれたんです。
──僕も「NIGHT」はすごく好きで、新曲2曲に加えて、アコースティックでのセルフカバーが入ってるのも、作品としての統一感や完成度を上げてるのかな?と思いました。
U-TAN 元々は新曲4曲ずつにしようかと言ってたんですけど、前作『KIDS AT PLAY』を出した時、ツアーで大船渡に行って。大きい音が出せなくて、1時間くらいのアコースティックライブをやったことがあって。インストアでは5年くらい前からアコースティックでライブをすることもあったんですが、そんな長時間やるのは初めてで。色んな曲をアコースティックでやったら、既存曲の良さに改めて気付かされて。だったらこのタイミングでコンセプトに合った曲を選んで、アコースティックカバーをやろうか?って話になって、「DAY」と「NIGHT」にはセルフカバーを収録したんです。
TANNY(Vo./Gt.) アコースティックで演るとメロディやコード感もおのずと浮き彫りになってくるんで、曲の持ってるありのままのパワーも出てると思うし、曲の良さに改めて気付いた部分もありましたね。
──MAKKINさんは「NIGHT」についていかがです?
MAKKIN(Ba./Cho.) 「NIGHT」収録の「LOVE SAVES ALL」でMVを撮ったんですけど、あまりにも自分の柄じゃなさすぎて、すごく恥ずかしかったです(笑)。黒の衣装を全身まとって、渋めの顔で演奏して……僕、そういうのがホンマに苦手なので恥ずかしくって。感想はそれくらいですね、曲のことは他の人に聞いて下さい(笑)
SUNE(Dr.) でも、MVは自然な感じで撮れましたよね。もっとキメなアカンのかなと思ったんですけど、ストレスもなくカッコ良く撮れて。
──歌ってる内容含めて、現在ってところで等身大で表現出来ているのかな?という気もしました。
TANNY みんな、もれなく38歳とかになってきているんで、渋みが追いついてきたというか(笑)。若い頃、同じようなマイナー調の渋い曲をやっても、若さがあるがゆえに中身が付いていかないところはあったんですけど。アラフォーにして、それが自然と出せるようになってきたところはあるんだろうなと思いますけどね。
──「LOVE SAVES ALL」はいま歌うべき曲、いま残しておきたい曲という感じがするし。一人の夜を歌った「FIGHTING ME」も若い頃の漠然とした不安と違う、正体が見えてる不安を歌ってますよね。
U-TAN 色んな悩みや不安があるけど、結局、紐解いていくと戦わなきゃいけないのは自分自身だったりするじゃないですか。そこで自分の甘えだったりと戦っていかなければ壁を越えられへんというのは、最近すごく思ってて。昔は当たり前のように次のライブがあって、この4人で活動出来ることに対して何も思わなかったけど、年を重ねるに連れて「あと何年出来るのかな?」とか考えても、現実味を帯びてきて。ライブが出来ることの有り難みを感じるようになってきて。
──そこにリアリティや重みがあって、すごくシンパシーを感じました。バンドの姿勢ってところでも、『SAKAI MEETING』が恒例になってきて、アルバムもコンスタントにリリースしながら、『MELODIC COASTER』を開催したり、中国に行ったり。結成20周年に向けて、活動がルーティーンになることなく、常に新しいこと、面白いことをやっていこうとする攻めの姿勢にも勇気を貰います。
U-TAN 「LOVE SAVES ALL」の歌詞じゃないですけど、僕らの地元にも若いバンドが出てきて。僕らもいつまでも若手の気持ちでいるんですけど、『SAKAI MEETING』や『MELODIC COASTER』で若いバンドと一緒にやったりする中で、背中を見られてるし、見せなあかん背中もあるなと最近、思っていて。攻めの姿勢を見せながらも、僕らが先輩に色々教えてもらったように若いバンドも牽引して、20周年に向かっていけたらというのは思いますね。
──素晴らしいです!単純な話、ここ数年で自分たちがやること、やらなきゃいけないことが広がったし、増えたんじゃないですか?
U-TAN やるべきことは増えたけど、昔よりも見えている気がします。
TANNY ある程度、周りも見えるようになってきたというか。経験もある分、気持ちの余裕が出てきて。フェスとかやると、色んな人が関わってくるので、どうしても周りを見なきゃアカン部分が増えて。それに付随してやらなきゃいけないことも増えて、視野が広がったし、オフェンスの気持ちでおらんとどれもが中途半端になると思うし。どれも全力でやろうというのは、4人とも思ってますね。
──そういう現状を楽しめている感もある?
TANNY うん。僕ら、ツアーだライブだ製作だと色んな行程ありますけど、常に楽しめてる感はありますね。先々で面白いもの見つけて、自分らをアゲていくという姿勢は常に持っていて。もちろん、僕らを必要としてくれる人を楽しませようという気持ちはありつつ、僕ら自身も楽しめないと周りの人にも楽しんでもらえないんじゃないか?と思うんで。今はライブもまず自分らが楽しそうに演奏するのを見て、楽しんでくれよ!って感じですね。
U-TAN ライブも昔よりくだけた感じになってて、もっとクソ真面目でカッチリしたライブをやってたんですけど、自分らが思い切り楽しんでいるのがお客さんに伝わって、楽しい空気が生まれてて。
──そんな中、「DAY」と「NIGHT」の2枚のシングルが出揃ったところで、11月からは「NIGHT」リリースツアーがスタートします。
U-TAN はい。いつも通り、何が起こるか分からない楽しいツアーになれば良いなと思ってるんですけど。
TANNY 「DAY」のツアーでは、東名阪の各会場で過去アルバムの再現ライブをやって、出来なかった曲もあったので。次は「DAY」の曲も含めて、色んな曲をやれたら良いなと思ってます。
SUNE 最近、本当にライブが楽しくて。みんな気負いがないところですごく良いライブが出来ているので。このツアーでもどこまで高みを目指せるのか?ってところで、さらに化けると思ってるので。自分らでもどんなライブになるのか、すごく楽しみなんです。
U-TAN そのうち、セットリストとか決めなくなりそうな勢いやからな。ステージ上で「次、何の曲にしよう?」みたいな(笑)
TANNY 普通に歌を歌いながら笑いそうになる時ありますからね。中国行った時、“サタンダンス”っていう、腕を上げ下げするダンスを踊ってたお客さんがいて、U-tanが曲中にそれをやるんですよ!!
U-TAN スペイン語でNOFXのカバーとかやる、スパニッシュのバンドがいるんですけど。そのお客さんがめっちゃ独特なモッシュをしてて(笑)。話聞いたら、スペインのダンスらしくて、「お前がサタンダンスのティーチャーや!」と言って教わったんです。
──ワハハ。MAKKINさんはツアーに向けていかがですか?
MAKKIN とにかくツアーを楽しみたいですね。僕もホンマは考えすぎてしまうタイプなんで、何も考えんとステージに出れるくらいが良くて。思い切りライブを楽しんで、対バンの人とお酒呑んで(笑)。10何年やってきて、気張りすぎないくらいが一番良いスタイルっていうのが分かってきたので。自分のペースを崩さず無理せず、これからもずっと続けていけることが一番やと思ってますね。
──20周年と言わず、30周年、40周年と続けて欲しいです。
TANNY そうですね。最終的には看護師さんに居てもらって、4人で点滴打ちながらライブやって(笑)
MAKKIN ヤバイな、その頃にはメンバー足りなくなってるかも知れへん。子供が引き継いでいく、世襲制にしようか?(笑)
◆SIGNAL
◆LOVE SAVES ALL