──違う味があると、毎回来てくださるファンの人も色々な楽しみ方ができそうですね。ちなみに12月に開催される、第9回目のライブはどんなものになるんでしょうか?お話できる範囲で教えてください。
……(しばらくの間を置いて)、実はまだ真っ白なんですよね(笑)
※10月上旬の取材当時
──えっ!てっきりもう着々と進んでいるのかと(笑)
むしろ今この場でご相談したいくらいです(笑)。なんかアイディアありませんかね?
──まさかの回答に驚きを隠せませんが(笑)、素直に考えると冬だしクリスマスも近いしで、ウィンターソングやクリスマスソングを期待されてるファンの方もいるんじゃないですかね?
シーズン的なことを考えるとそうですよね。あと、12月は僕自身の誕生月でもあるんですよ。しかも誕生日当日にもこのライブがあるけど、決してバースデーライブにするつもりはなくて。でも、時期的なことでいうと、年の瀬ならではのちょっと浮かれた感じもいいですよね。だけど僕の場合、ウィンターソングも年がら年中歌ってるし、敢えてコレ! みたいな曲って実はあまりなかったりして……。やっぱり色々なタイプの曲がレパートリーに必要、というかどれだけあっても足りないものですね。このライブを初めてからそれを痛感してます。
──逆にいうと、ライブをやりながら「こういうのがあったらいいな」って思って作ってきた曲っていうのも多いんじゃないですか?
はい、自分にとって新しい物作りのプロセスができました。何ヶ月か後にあのライブハウスでやるライブ、って具体的に想像しながら曲を書き始めるってことは今までなかったので、そういう意味では曲のタイプやバリエーションも変わってきたと思います。
昔(CHAGE and ASKAの)チャゲさんと話したことがあって。チャゲアスの曲が大好きですって伝えたら、「あれは全部ライブから生まれた曲だからね」ってことを仰ってて。当時はその真意がよく分からず、ライブで何回も歌ってるうちに少しずつ形が変わってくる、みたいな意味で捉えてたんですけど、いや、実際にそういう意味も含まれていたのかもしれませんけどね。すごくリアルにライブのことを想像しながら曲を書くっていうのが、本当の意味でライブから生まれる曲作りといえるんじゃないかって思ったんです。で、チャゲさんはもしかしたらそういう意味で仰ってたんじゃないかなって、去年今年くらいにふと思ったんです。
──興味深いエピソードですね。で、今はご自身もそうやってライブを意識した曲を作り続けていると。
そうですね。さらにいうとライブをコンスタントに続けているからこそ、できることもあるのかなと。これが年1回とかのライブだと、もっと偏ったものになったかもしれませんけど。
──そうやってライブから生まれた『Music Diner』ですが、仰る通りライブで演奏する場面が思い浮かぶ曲もあれば、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」をモチーフにした曲なんかもあって、絶妙なバランスでした。以前インタビューで、「多国籍な料理を出す食堂とか、定食屋さんみたいなアルバム」と仰ってましたが、それを知った上で曲を聴くとすごく納得できました。お祭りのエピソードを聞いても思いましたが、本当に多国籍というか色々な味の料理を出せる方なんだなーと。
単に飽き性なんですよね、僕自身が。すぐ気移りして色々なことやりたくなっちゃうというか。『Music Diner』をテーマにした「森の音楽会」ライブの時は、アルバム収録曲をそのままやったんですけど、バンドの生演奏で再現する曲もあれば、ループマシーンを使ってループ感を演出したりする曲もあって、手を替え品を替え、色々なアプローチができたかなと思います。
──曲を聴く限り、ソウルだったり、90年代〜2000年代前半のR&Bだったり、影響を受けているであろうジャンルの片鱗を随所で窺うことができたんですが、森さんのルーツってどこらへんなんでしょうか?
自分の意思で聴き始めたのは、スティーヴィー・ワンダーです。中学3年位の頃にCMか何かで曲を聴いて衝撃を受けました。ソウルとかR&Bもそこから入っていきましたね。初めて買ったCDもスティーヴィーですし、僕の究極の目標は彼であり、それはその当時も今も変わってないです。
(森大輔が敬愛するアーティストに関する詳細は、後日公開の番外編にて!乞うご期待! )
──中学生でスティーヴィーにハマったんですね。ちなみにJ-POPとか歌謡曲とかは聴いてなかったんですか?
当時は週3回でピアノ教室に通ってピアノばっかり弾いてたんで、ドラマで流行ってた曲とかチャートを賑わしてた音楽ってあまり聴いてきてないんですよ。クラスメイトの話題についていけないとか、カラオケで何歌っていいかわからない、みたいな悩みはありましたね。だから今でも懐メロとか昔流行ってた曲の話になると、黙りこんで話が変わるのを待ってます(笑)
自身の曲を作るときに大事にしていることとは?