――12月には日本でも20周年記念ライブが開催されます。これはどういう経緯から実現したのでしょうか?
当初は日本中心にライブ活動をしていたのですが、ここ数年日本での活動に長い空白があって。ただ日本ではアニメやドキュメンタリーなどいわゆる映像作品の音楽を作っていたり、韓国でライブの際も日本のミュージシャンと一緒に行くので、彼等が韓国でのライブ見ながら「日本でもやれば&やろうよ」と常に急き立ててくれ、だんだん自分もその気になってきたというか。やはり日本でのライブも恋しくもなってきたりね(笑)
――梁さんが手掛けた2002年の釜山アジア大会メインテーマ曲『Frontier!』が韓国でヒットしたこともきっかけのひとつなんですよね。
そうですね。フロンティアは韓国で何度も教科書に載ってくれ、韓国での活動の柱になった曲です。その後日本でもアニメなど映像音楽をやりましたが、去年やった『アゲイン 28年目の甲子園』が大きなきっかけになりました。その際、浜田さんチームも「日本でやらないの?」と言ってくれたり、だったらソロデビュー20周年だし日本でアルバム『EMBRACE』を発売しよう、せっかくだからライブもやろうということで、5月にジャズクラブでやってみたら想像以上に楽しく、皆さんの反応が温かく嬉しかった。その時からライブ熱も再燃し、今まで離れていた分、日本で皆さんと共有できる時間をもっと増やしたいと思いました。
――日本と韓国とで、観客の反応はかなり違いますか?
日本は温かいですね。韓国は反応がストレートで、ある種直情的、いい演奏をしていると、その瞬間にストレートにポンと反応が返ってきます。演奏の途中でも、ギャー!って叫ぶ人がいたり(笑)。ワーッと盛りあがって、アンコールでも盛りあがって、終わった瞬間「さあ、飯何食っていく?」みたいな。切り替えが早い。日本はそういう感じではなく、奥行きがあって、受けとめてくれるというか、余韻も含めて、噛みしめてくれる感じ。その反応が僕にとっては、懐かしくもあり、うれしくもあり。この観客の差は決して断言できる話ではなく、あくまでも大枠の話。で、当然どちらも良いんだけど、5月に軽い気持ちでやった東京でのクラブライブがきっかけとなり、日本で本格的なライブをやることにしたわけです。
――『梁邦彦20周年コンサート<UTOPIA>』というタイトルが付いていますが、どんなステージにしたいですか?
韓国でも20周年公演を11月3日からソウル国立劇場で3日間やり、その内容とある程度リンクするよう、同タイトルにしています。内容、メンバーはまったく同じというわけではありませんが。日本公演に関しては20年経ち、またやるよという挨拶的なところもあるので、通常のコンサートより凝縮されたものにしていけたらと思っています。ソロ作品、映像作品など、いい形でのダイジェスト的&日本でのコンサートに特化したメニューで、初めてお会いする人たち、久し振りにお会いする人たちに、梁 邦彦は今こういう音楽やってるんだと感じてもらえるステージにしていきたい。そしてそれをきっかけに次のドアを開いていけたらと思っています。
――20周年以降、どんな活動をしていこうと思っていますか?
基本、僕が今までやってきた活動は大きく2つに分かれます。1つは自主的なソロ活動。ソロアルバムを作りライブをやる。もう1つは劇伴であったり、いろんな音楽イベントであったり、依頼による活動。その2つを有機的に両立させ続けていけたらと思っています。大きな国家行事や映像作品での活動によって得られること、感じられることもたくさんあるので、その収穫をソロ活動に還元し、逆にソロ活動が他の活動にプラスになることもあるので、双方を往復しつつ積み上げていきたい。そう、僕はそういうキャラクターだと思っています。近年日本でのライブが少なくなってましたが、もっと増やし、日韓双方で立体的、多面的に進めてけたらと思っています。
■梁 邦彦 ― 動画セレクション ―
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