──(笑)。でも、完成した楽曲はミユキさんのイメージ通り、強いメロディと強い言葉がせめぎ合うような仕上がりですよね。
ハルカ 最初はぜんぜん歌詞が書けなかったんです。結局、アルバム制作の最後になってようやく完成したんですけど、まず「愛して」という言葉がパン!と出てきたんですよね。そこから「でも、これはラブソングじゃないな。どうして“愛して”って言ってるんだろう?」と考え初めて。最終的なテーマは、ずっと自分のなかにあったものだと思うんですよね。たとえば存在の意義とか、本当の自由とか。言葉のチョイスは国籍や時代が特定できないような感じなんですが、訴えてる内容はいまここで生きている自分たちの現実そのもので。
──タイトルにもある通り、奇跡を祈るのではなく、自分自身で責任を取りながら生きていきたいという思いが含まれてますよね。
ハルカ そうですね。自分の幸せや不幸せ、成功や失敗みたいなことに対して、自分で責任を取るっていう。その代り自分の道は自分で選ばせてほしいし、自分の信じたものを貫きたいという決意でもあって。いまの時代に生きてる人は、みんなどこかでそう思ってる気がするんですよ。何か大きなものに従っているほうがラクだし、従っているということ自体を忘れることも出来るだけど、気付いたら取り返しがつかないことになるんじゃないかって。“これはおかしいぞ”と思うことをストップさせるのはすごく力が要ることだし、「いまはとりあえず大丈夫だから、いいや」ってなりがちだけど、それはすごく怖いことだと思うんです。どんなに大変でも従うことをやめて、自分でちゃんと考えないといけないなって。
──そういうシリアスなメッセージが描かれている一方、「Are you ready?」「見る前に踊れ」など、エレクトロのテイストを取り入れた楽曲も収録されていて。
ミユキ そのあたりの3曲(『Are you ready?』『見る前に踊れ』『トーキョー・ユートピア』)はアルバム制作の後のほうに出来た曲なんです。そこで場面展開をしたかったから、私が大好きな80’s、エレクトロの要素がふんだんなんですが、作り方はいままでとぜんぜん違って。前までは自分が好きなアーティストのマネをしていたところがあったんだけど、そのやり方だとパワーがあるものにならなくて。まずは『人に伝わるメロディ、ハッとするようなメロディにしたい』というところから考えて、それをどうアレンジしていくか?という作り方に変えてみたら、ぜんぜん違うものが出来たんですよね。あと、いまやっている47都道府県ツアーも大きいんですよ。当たり前だけど、会場に来てくれる人がいるからライブが出来るということに改めて感謝できているし、新曲を披露するのもすごく楽しみで。お客さんから「この曲に救われました」と言ってもらえることもあるんですけど、みんなとのつながりの強さを実感できているんです。
──ハルカトミユキが生み出す一体感、盛り上がりは、その場限りの刹那的なものではないですからね。
ハルカ ハッピーに盛り上がる感じではないですね。(歌詞に)皮肉を書くこともあるし、それを共有するのが好きなんですよ。滑稽なこと、ばかばかしいことがあるということを認めたうえで「つまんねえよな!」って盛り上がるというか(笑)。特に「見る前に踊れ」とか「DRAG & HUG」はそういう感じですね。
歌詞がストレートに響くラブソングも。