──ナイトメアをずっと好きで居てくれる人たちって、本当にナイトメアの音を好きで居てくれてるのを感じるよね。こんな言い方したら誤解を招くかもしれないけど、お茶の間の人たちも知るような大きなタイアップって『DEATH NOTE』のオープニングテーマだった「the WORLD」だと思うけど、その後、変にブームになることなく、しっかりとバンドとしての実力でここまで残ってきているバンドでもあると思うからね。そういう意味でも、ナイトメアの魅力ってどこにあると思う?あるいは、自分が若い頃に影響を受けたバンドは、どういうところに惹かれていたんだと思う?
咲人 なんだろうな。難しいけど、分析するとしたら、やっぱり純粋に見た目のカッコ良さに惹かれたというとこもあると思うけど、思春期に自分の中に入ってきたものって、すごく深く残るんだと思うんだよね。その時期に聴いたものって、今もやっぱりすごく自分の中にあるっていうか。そういう時期ってあるんだと思う。10個年下の人たちが語るときには、その時代に流行ったものであったりするしね。俺たちはそこにまったく同じ感情は抱かないと思うから。そのバンドの音がどうこうっていうのもあるとは思うけど、聴いていた時期っていうのもすごく大きな要素ではあると思う。
──たしかにね。時代とか時期はあるかもね。でも、特に好きなバンドやサウンドはあったわけでしょ。その時期に流行っていたもの全部が好きだったりするわけじゃないし。そこの差って何かな?って思うよね。
咲人 やっぱりそこがさっき言ってた“中身があるかどうか”ってとこに繋がる話でもあると思うんだよね。昔好きだったものも、今必ずしも好きであるとは限らないというか。でも、やっぱり中身のあるものは、今聴いてもいいなって思うからね。そこの違いかなって思う。
──たしかにね、若い頃は見た目やキャラだけでとことん好きになれたりもするからね。
咲人 そう。表面上で多くの支持を得られたとしても、そこからずっと残っていけるかは、やっぱり実力次第だと思うからね。
──うんうん。“なんであの頃、これがあんなに好きだったんだろう!?”って思うこともあるしね(笑)。
YOMI たしかにね(笑)。でも、俺、その逆もあるよ。今改めて聴いて、“なんであの頃、この良さに気付けなかったんだろう!?”っていうパターン(笑)。
──あははは。まぁたしかに、それもあるかもだけどね(笑)。
咲人 そう!?俺その感覚はないなぁ~。好きな物は好きだし、嫌いなものは嫌いだから、嫌いだった物とか興味の無かったものを、わざわざ掘り起こそうとは思わないからな~。だとしたら、新しいものを貪欲に聴いていくって感じかな。
──そこはそれぞれの性格もあるかもね。でも、昔の歌謡曲とか聴き返すと、“うわっ!こんなところにさりげなくシタールとか入ってる!?”って思ったりすることってない?当時はそういう分析をして聴いていなかったものを、今、いろんな知識が備わった状態で聴くからこその発見というか。
咲人 たしかに、そういうのはある。昔はそこまで掘り下げて聴いてなかったから、今になってそういう発見があるってことはあるけどね。
YOMI そういう感覚で言うならね、自分たちの曲に対してそう思うこともあったりするよ、たまに。今回のツアーでも昔の曲とかをやってたりしたんだけど、久々にやる曲をやると、昔の自分から怒られてるような感覚になるというか。なんかね、そういうのあるんだよな~(笑)。
──でも、ナイトメアを最近好きになってライヴに来ましたっていう人たちも多いのは、そういうところなのかもね。“昔はヴィジュアル系のバンドだと思って食わず嫌いしていたけど、ずっと長くやってるし、なんでこんなに人気あるんだろう?と思って聴いてみたら純粋にロックバンドとしていいなって思ったからライヴに来てみた”みたいな。単にヴィジュアルシーンだけのバンドにおさまっていないというか。
YOMI うん。そう思ってもらえてたとしたら嬉しいよね。やっぱり自分たち的にも、ヴィジュアル系のシーンだけじゃなく、幅広い層の人たちに支持されるバンドになりたいって思ってやってきたから。昔よりは今の方が、そういう自分たちが目指したバンドになれてるのかな?って思うけどね。