お腹を空かせて発狂寸前のJ太郎を救ったのは、あの大物アーティストだった・・・
スタッフが食事をするケータリングはあるんですが、食べ物が何もないんですよ。「(皿を叩きながら)うわ~、もう勘弁してくれよ」みたいな(笑)。そのとき吉田豪も一緒でしたけど、そもそも彼は菜食主義者でね、食も細いですから。おまけに上品なフリをしていますから、そういう時には知らん顔してるわけですよ。
そのときにね、一人の大きな図体をした男が「杉作さんですよね?」って言うんですよ。「ああ、そうです」って言ったら、「食べ物ないんですか?」と聞かれて、「ないんですよ!」って言ったら、「僕のカレーあげます」って言ってくれたんですよ!
「いやあ、もらうわけにはいかないですよ、これあなたのでしょう!」って言ったんですけどね。「食べてくださいよ、僕はいいですから」って、最後のカレーを見も知らぬ人がくれたんですよ。
そしたら、後で話していてわかったんですけど、それが斉藤和義さんだったんですよ! いい人だなぁ~と思ってねえ。大震災の時に、ずいぶんYouTubeとかで見ていたんでね。その後に開催されたイベントで、まさか僕が施しを受けようとは(笑)。
いやぁ、でもなかなかできないことだと思いますよ。あの人の優しさは本物ですね。わざわざ持ってきてくれた、くらいの感じでしたよ。
横にいて、たまたましょうがなくなってあげたっていうよりは、「騒いでる人がいるから、まぁあげようか」っていう感じで(笑)。別に僕じゃなくても誰でもくれたと思いますよ。親切な方だなぁ~と思ってね。その温かさを……覚えていますね。
杉作J太郎
男の墓場プロダクション局長、現代芸術マガジン編集長、東映チャンネル放送委員、映画「チョコレートデリンジャー」製作中!著書「ボンクラ映画魂完全版」発売中(徳間書店)