レディオヘッド「アビンドン・スクール」 世界の音楽聖地を歩く 第11回

コラム | 2016.07.09 18:00

クリス・ハッフォードとブライス・エッジはオン・ア・フライデイの演奏に大いに刺激を受け、彼らのマネージャーを引き受ける。1991年も終わりに近づいた頃、バンド内で最高学歴を誇るコリン・グリーンウッドと EMIのA&Rだったキース・ウォーツェンクロフトはミーティングを行い、オン・ア・フライデイはEMIとの6枚のアルバムのレコーディング契約にサインする。ちなみにバンド名の変更はEMI側からのリクエストで、トーキング・ヘッズのアルバム「トゥルー・ストーリーズ」に収録されている『レディオ・ヘッド』という曲から頂いたものである。クリス・ハッフォードがプロデュースしてコートヤード・スタジオでレコーディングされたデビュー・シングル『Drill』は振るわなかったが、1993年にリリースしたファースト・アルバム「Pablo Honey」からのシングル『Creep』が世界的なヒットとなり、レディオヘッドの躍進が始まるのである。

Courtyard Studio:21 The Nursery, Abingdon, Oxfordshire OX14 4UA, UK

 

イギリスで毎年開催されている「Independent Venue Week」のアンバサダーを務めているコリン・グリーンウッドは、自分がもっとも好きな”Independent Venue”に「ザ・ジェリコ・タバーン」を挙げている。会期中には彼自身もこの店のステージに立ち、出演バンドとのセッションを楽しむこともある。ザ・ジェリコ・タバーンのあるウォルトン・ストリートはオックスフォードの町はずれにある小さな通りだが、美味しいレストランやカフェが立ち並ぶ、まさにイギリスの学生街といった趣の通りである。オックスフォードにはロンドンから直通バスなどもあり便利なので、一度レディオヘッドの故郷を訪ねてみるのもいいだろう。

 

レディオヘッド Creep

1 2

桑田英彦(Hidehiko Kuwata)

音楽雑誌の編集者を経て渡米。1980 年代をアメリカで過ごす。帰国後は雑誌、エアライン機内誌やカード会員誌などの海外取材を中心にライター・カメラマンとして活動。ミュージシャンや俳優など著名人のインタビューも多数。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、イタリア、ハンガリー、ウクライナなど、海外のワイナリーを数多く取材。著書に『ワインで旅する カリフォルニア』『ワインで旅するイタリア』『英国ロックを歩く』『ミシシッピ・ブルース・トレイル』(スペースシャワー・ブックス)、『ハワイアン・ミュージックの歩き方』(ダイヤモンド社)、『アメリカン・ミュージック・トレイル』(シンコーミュージック)等。