口パクがJ太郎にもたらしたモノとは・・・
歌ってはいないけれど、その代わりに見えてくるものがあるわけです。客席の隅々まで見えてくるんですね。だから、ファンサービスに徹することができるんですよ。「皆さん、僕が見えてますか!」みたいな。あとは客席を回ったり、ダンスの精度を上げていくとか。まあ僕が言うとおかしいですけども(笑)。とにかくライブに集中できるんですよ。
もちろん発声もしてるんです。マイクが生きていないだけで、大きい声は出してますから。なぜなら、身近なお客さんは歌ってるか歌ってないか分かっちゃうわけです、口パクだと。でも、手前のお客さんが沸かないことには後ろも沸きませんから。それで、手前を納得させるためには口パクでも歌うことが必要になってくるんですよね。たぶんアイドルの子たちも発声していると思います。だからMCのときとか、声が枯れてガラガラになってるでしょう。本当に口パクだったら声が枯れるわけがない。
まあ、とにかく僕のライブではその口パクがウケましてね。3曲くらい自分の曲をやってから「今日は新曲を用意しました!」って言うと、みんな「わぁっ!」と沸くわけですよ。そこで「新曲を聴いて下さい」って言って、吉田拓郎先生の「イメージの詩」を歌うんです(笑)。これがウケましてね~、毎度毎度。明らかに声が違うから。リズムも全然違うし。
歌詞の内容はいいこと言ってるんですよ。あまりにも先鋭的な、いまだに誰も追いつけない内容の歌詞だと思ってます。僕の曲ではないですが、受け継いでいきたいくらいに思ってますね(笑)。僕が歌う「イメージの詩」しか聴いたことがない人も、もしかしたらいるかもしれませんね。まあ口パクなので歌ってませんけども(笑)。もうちょっと規模が大きくなったら(吉田拓郎先生に)ご挨拶に行かなければいけませんね……。
杉作J太郎
男の墓場プロダクション局長、現代芸術マガジン編集長、東映チャンネル放送委員、映画「チョコレートデリンジャー」製作中!著書「ボンクラ映画魂完全版」発売中(徳間書店)